【密着!怪物24時】第89回選抜高校野球大会第8日第2試合の東海大福岡(福岡)戦を控えた早実(東京)は26日、兵庫県内のグラウンドで全体練習を行った。フリー打撃では東海大福岡の横手投げ右腕・安田(3年)を想定し、現役時代、下手投げで鳴らした国定部長が打撃投手に。清宮も“仮想安田”を相手に18スイングで4本の柵越えを披露した。

 その6スイング目、清宮の放った打球は大きな放物線を描き、ホームから約110メートル離れた防球ネットをつるす鉄塔の、地上18メートル付近を直撃。鈍い金属音と観客のどよめきが入り交じった。4本の柵越えのうち2本は推定飛距離130メートルの場外弾。「よく振れてる。調子は悪くない。初戦はあんまり打ってないので、次はプレーでも引っ張っていきたい」と話した清宮に、本紙高校野球取材班の佐藤は「ますます状態が上がっている。いよいよ手がつけられないぞ」と大暴れを予感した。

 そんな上がり目十分の怪物に、相手もただ指をくわえているわけではない。東海大福岡の練習に向かった取材班の福田は、杉山監督を直撃。清宮対策を聞くと…。

「批判は覚悟の上で、安田に“2階から落ちてくるような山なりの超スローボール”を投げさせようと考えている。『なめてんのか!』と言われるかもしれないけど、清宮に本塁打を打たせないため。清宮がスタンドに放り込んだら早実は勢いづく。球場の雰囲気も早実寄りになる。だから本塁打だけは絶対にダメ。ゆる~いボールを本塁打にするのは難しいから」。目線を上下に大きく動かし、緩急をつけて清宮の打撃を崩そうというわけだ。

 超スローボールといえば、2014年の夏の大会で東海大四(南北海道)のエース・西嶋が九州国際大付(福岡)戦で山なりボールを投じて物議を醸した。「高校球児らしくない」との否定的な意見が出る一方で、海の向こうからダルビッシュ(レンジャーズ)がツイッターで擁護コメントをつぶやくなど、場外戦も勃発している。

 明徳義塾・馬淵監督の敬遠示唆に続き、今度は「西嶋ボール」…。清宮は“禁断の勝負”をしてまでも抑えなければならない相手ということだろう。