第89回選抜高校野球大会第7日(26日)で大会史上初の“記録”が生まれた。第2試合の福岡大大濠(福岡)―滋賀学園(滋賀)が延長15回、1―1の引き分け。さらに第3試合の健大高崎(群馬)―福井工大福井(福井)も延長15回の末、7―7のドロー。春夏通じて初の1日2試合連続で引き分け再試合となり、2試合とも第9日(28日)に行われることになった。

 日本高野連の竹中事務局長も「1日で再試合が2つも出るというのは前代未聞」と驚きを隠せなかったが、これで再試合の勝利チームが決勝まで残った場合、4連戦の過酷日程になる。この日、193球を投げた福井工大福井の投手・摺石(3年)は「腕が振れない。代えてほしい」と直訴して11回で降板。摺石は「あさって(28日)は正直厳しいかなと思う」と顔をしかめた。福岡大大濠のエース三浦(3年)も196球を投げており、投手への負担は大きい。

 高野連は今回のケースを受け、タイブレーク制導入について議論を進める方針だ。竹中事務局長は「技術振興委員会で委員から質問は出てくると思う。新しい事象が出たので十分議論しないと」と話すが、水面下ではすでに導入への動きがあるようで、大会関係者は「賛成意見で大多数を占めている。再試合には日程的な問題がある。応援団も来てまた帰らせてしまうのは大変。やはり、その日のうちに決着をつけないと」と明かす。

 一方で「引き分けも白熱した試合の醍醐味ととらえられる伝統がある」との意見も根強い。「甲子園のラガーさん」としておなじみの善養寺隆一さんは、ファンの立場から「導入したらつまらなくなっちゃうね。僕は絶対反対」ときっぱり…。いずれにしても負担軽減策は急務だろう。