【センバツ】前橋育英「リーディング力」で中村を攻略

2017年03月21日 16時30分

2回、先制の2点タイムリーを放った田中

 第89回選抜高校野球大会第2日の20日、第3試合で、40年ぶり出場の中村(高知)を5―1で下した前橋育英(群馬)の勝利の裏にあったのは「リーディング力」だ。

 

 1年前から荒井監督の発案で、全体練習終了後に「15分読書」が設けられ「一日の中で習慣を15分変えるだけで、人生は劇的に変化する」と説き、活字に不慣れだったナインに本を持参させた。監督自身も脳医学者・林成之氏の著書を愛読。指揮官自ら「勝負脳」を鍛えるための知識を身につけ、ナインにレクチャーしている。

 

「水泳選手もゴール手前5メートルで失速する。ゴールが見えると力が抜けてしまうという話を教えてもらった。僕らは一塁ベース後方5メートルの所に線を引いて、そこまで全力疾走するように普段から意識づけしている」(ある選手)。監督が惜しまず知識を授け、選手は実践。それぞれが読書から知力を養っているという。

 

 中村戦では2回一死二、三塁で公式戦初スタメンとなった田中(3年)が2点適時打。大抜てきに足がすくんでもおかしくない状況で落ち着いていたのも読書のおかげ。「目や口元に手を当てるしぐさは脅威を感じている証し。無表情は緊張している証し。今日の投手は、しぐさから、すごく緊張していると分かった。それで楽になったし、イケると思った」。田中は「FBI捜査官が教える『しぐさ』の心理学」(河出文庫)という本から相手の心理状況を読み取り、精神的優位に立っていた。

 

 そんな田中は試合後、取材を受けながら「足の爪先が話し手に向いていなかったら、その聞き手は『興味ないから早く帰りたい』と思っているんですよ」とひと言。恐れ入るばかりだ。