怪物の春がいよいよ開幕だ。第89回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に出場する早実(東京)が対外試合解禁となった8日、早大グラウンドで早大と練習試合を行い、6―17と大敗した。

「3番・一塁」で先発出場した“怪物スラッガー”清宮幸太郎内野手(2年)は3打数1安打2打点。9回無死の第5打席に元ロッテ・小宮山悟氏(51)の長男の小宮山将投手(3年)から高校通算79号となるソロ本塁打を放った。

 カウント2―0から高めの直球を振り抜くと、打球は高々と舞い上がり高さ15メートルの右翼ネットを越えた。グラウンド脇の通路に着弾したボールはコンクリートで大きくバウンドし、隣接する準硬式野球部のグラウンドへ。推定130メートルの場外弾には集まった8球団のスカウトもうなった。

「すごいですね。飛距離もとんでもない」と日本ハムの岩舘スカウト。別のスカウトは「普通あれだけ上がらないですよ。最後に打つというスター性もある。ブライアント(元近鉄)みたい」と絶賛だ。

 父・小宮山氏も見守る前で場外弾を浴びた小宮山は早実OB。「清宮がいるんで全員で抑えようと話していたのに最後に自分が打たれちゃった。これで(センバツで)活躍すれば自分のおかげじゃないですか。たぶんセンバツも勝てると思う。甲子園で暴れてきてほしい」と後輩・清宮にエールを送った。

 1年夏以来の聖地登場。相手校に徹底的にマークされるのは間違いないが、それをはね返す準備はしてきた。体の開きを修正するために、フリー打撃では元レッドソックスの主砲オルティスをお手本に左方向へ強い打球を飛ばすことを意識している。

 日本列島を席巻した清宮狂騒曲は再現されるのか。豪快なアーチの量産を野球ファンのみならず日本国民が楽しみにしているといっても過言ではない。注目の抽選は10日に行われる。