【神宮大会】準V早実を悩ます「13人のニセ清宮」

2016年11月16日 11時30分

3回、履正社・安田に3ランを浴びガックリの清宮

 第47回明治神宮野球大会第5日は15日、神宮球場で高校の部の決勝が行われ、怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(2年)を擁する早実(東京)は履正社(近畿)に6—11で逆転負けした。履正社は初優勝。清宮は高校通算76号のソロ本塁打を含む3打数2安打2打点2四死球と存在感を発揮したが、頂点には届かなかった。早実はセンバツ出場も確実にして甲子園でのリベンジも期待されるが、その裏で学校側は暗躍する「13人のニセ清宮」に頭を悩ませている。

 怪物の一発をゴングにノーガードの殴り合いが幕を開けた。早実は初回、清宮が右翼へ高校通算76号となる先制のソロ本塁打。履正社もすぐに同点とし、乱打戦を予感させる。両校の打線が火を噴いたのは3回だ。履正社が“西のスラッガー”安田尚憲(2年)の3ランで逆転すると、早実はその裏に打者一巡の猛攻で一挙5点を奪って再逆転。すると4回には履正社打線が大爆発し、7点を奪って試合を決めた。

 清宮は3打数2安打2打点2四死球と気を吐いた。それでも頂点には届かず「もちろん優勝を目指して戦ったんですけど、力負けしてしまったかなという感じ。上には上がいる。逆にここで優勝ではなく準優勝で終わることで、さらに成長できるきっかけにもなったかなと思う。ひと冬越えて、またもっと強いチームにしていきたい」。主将を務める怪物スラッガーは、そう言って悔しさをかみしめた。

 それでも早実の明治神宮大会準Vは荒木大輔を擁した1980年以来、36年ぶり。いまや全国屈指の強豪となり、先の秋季東京都大会を制してセンバツ出場も確実にしている。全国区人気の清宮を抱えていることから、学校関係者は来年1月27日に行われるセンバツの出場校発表に向けて神経をとがらせているが、そんな中で気になるのが「13人のニセ清宮」の存在だ。

 ツイッターには現在「清宮幸太郎」を名乗ったアカウントが10個、「清宮幸太朗」名義のものが3つある。当然、同姓同名の別人の可能性もあるが、いずれも清宮本人の写真を掲載、本人のものと誤解されるような投稿をしている。早実の真貝広報によると早実野球部でツイッターの使用は禁止されていないものの、部員の多くが「鍵」をかけて外部から見られない設定にしており、清宮自身はやっていない。

 仮に悪意ある第三者だった場合、架空の不祥事などの怪情報を事実関係の確認が追いつかない選考会直前にでっちあげ、早実を出場停止に追い込む危険性もないとは言い切れない。

「ニセ清宮アカ」の多くは早実が甲子園に出場した昨夏に乱立。最近は更新されていないものが多く目立った動きは少なかったが、新チームが始動した後の今年10月に新設されたアカウントもあり、清宮の注目度が高まるにつれて、さらに増加する可能性が高い。内容は練習や甲子園の話などたわいのないものがほとんどだが、中には堂々と「アンチ清宮」をうたうものや「このアカウントは自分のではないので気をつけてください」と他のアカウント画像を掲載する悪質性の高いもの、なぜか「鍵」をかけているものまで多種多様だ。

 ネット上でのなりすまし問題に詳しい浅見隆行弁護士(41)は「現時点で法的措置を取ることは難しい」と話す。「具体的な罪状としては名誉毀損、肖像権の侵害が挙げられます。肖像権については近年高野連も厳しい対応を取っている。ただ、今までの判例からいうとアカウントを運用しているだけでは罪には問えず、あくまでツイッターの規約違反にすぎない。ツイッターの性質上、不正アクセスにもあたらないし、当然、同姓同名の人物の可能性もありますから。不利益が生じて初めて訴えられるというのが現状です」

 前出の真貝広報は「ネット上のなりすましは清宮くんに限らず生徒全員がトラブルに巻き込まれる可能性がある問題。当該アカウントは常時監視していて、何度か警告も行っています。ツイッター社に削除要請もしていますが、イタチゴッコというのが正直なところ。他の部員にもなりすましアカウントの存在を伝え、相手にしないよう注意喚起はしています」と話し、場合によっては事前に高野連になりすましアカウントの存在を通達しておくことも視野に入れているという。

 センバツ出場目前の早実に降って湧いた「ニセ清宮」騒動。怪物2度目の甲子園出場が確定する来年1月27日まで、学校関係者は気をもむことになりそうだ。