【ズームアップ甲子園】第88回選抜高校野球大会が開幕。32代表が12日間にわたって甲子園で熱戦を繰り広げるが、一方で開幕が間近に迫ったプロ球界は野球賭博問題で大揺れが続いている。暗い話題ばかりが目立つプロ球界を高校球児らはどんな目で見ているのか。代表校の選手や指導者は複雑な思いをのぞかせた。

 巨人4選手の野球賭博に端を発し、現在は7球団の“円陣声出し”の金銭授受問題にまで波及するなど、再発防止への対策が急がれている。

 当然、野球を愛する球児たちへの影響も大きい。ある選手は「ミーティングで(その問題を)話すことはないけど、選手同士で話題にすることはあります。みんな残念がってます」とあこがれのプロの世界の現実に衝撃を隠せない。四国地区の主将は「何やってんだって感じですよ」と手厳しい。

「賭博やチーム内での賭け事の話も、1つの球団が発表したら次から次へと悪いことをやってる球団が出てきてショックでした。すごい嫌だった。プロ野球は僕たちが目指すところじゃないですか。『あの球団に行きたい』と言ってたヤツも、もうそんなことは言わなくなりますよ」とバッサリだ。夢だったプロへの道が汚れて見えてしまっているようだ。

 では、球児たちはギャンブルまがいの行為をしたことがあるのか。そろって口にしたのは「野球で賭けをしたことはない」。関東地区の主将は「入学したときから監督や先生にお金に関することを厳しく注意されている。先輩から『お金貸して』や『ジュース買ってきて』と言われてもやらない。だから、賭け事なんて絶対にやってません」と言い切った。

 一方で、ある西日本地区の主将は「そんなに頻繁ではないけど、負けた人がみんなにジュースをおごるジャンケンをやったことはあります」と素直に話した。とはいえ「後輩が負けると先輩がおごる。だから後輩におごらせたことはない。だけど、これからはジャンケンもやらないほうがいいですね」とゲーム感覚の行為さえ自粛していくという。

 多感な高校生だけに指導者にも思うところがある。ある部長は「人として間違っていることだからいけない。私は選手たちにそんなことは教えてない」と断言。

 関西地区の監督は「プロ野球はファンあってのビジネス。ファンの心情から逸脱してはいけない。高校野球とは関係ない話ですから、結びつけないでほしい」と野球すべてがダーティーなイメージを持たれてしまっている現状に怒り心頭だった。

 高校球児だけでなく、未来の球界を背負う野球少年のためにも浄化は不可欠だろう。