第88回選抜高校野球大会(20日から12日間・甲子園)の組み合わせ抽選会が11日、大阪市内で行われた。V候補・秀岳館(熊本)は第4日第3試合で花咲徳栄(埼玉)との対戦が決定。長らくNHKの高校野球解説者を務めた鍛治舎巧監督(64)が率いることでも注目を集める秀岳館だが、そのパワーの源は吉本新喜劇にもあるという。

 秀岳館の主将・九鬼(3年)が引き当てたのは、最速145キロ左腕・高橋昂(3年)を擁する花咲徳栄。いきなり強豪相手となり、鍛治舎監督は「関東で一番良い投手だ。思い切ってやりたい」と気を引き締めた。

 2014年に秀岳館の監督に就任。長らくNHKの高校野球解説者を務めたほか、社会人野球の松下電器(現パナソニック)、大阪府のボーイズリーグ「オール枚方ボーイズ」を率いて3度の全国優勝を果たした実績を持つ。そんな名将を慕って「オール枚方ボーイズ」の選手が後を追うように入部。今大会のベンチ入り選手18人中、10人が関西人だ。

 チーム内の“ノリ”は申し分ない。関西出身のナインらは九州出身選手を巻き込んで吉本新喜劇を利用。寮生活では、ネット動画などで見るドタバタコントに腹を抱えて笑うようになった。特に九州勢が気に入ったのが、新喜劇座長の辻本茂雄が演じるキャラクター「茂造じいさん」。ジャージーにベスト、特徴的なハゲ頭と、大阪人ならおなじみの存在だが、関西部隊に“洗脳”され、今では九州勢も「アゴがフランスパン」「許してやったらどうや」などの茂造ギャグを連発するそうだ。

 選手の一人は「練習も試合も明るく、雰囲気よく。失敗したときに暗くなっても良い結果は出ませんから」「関西ノリが広まって、試合でも明るく戦える」と拳を握った。鍛治舎監督が就任して1年半でチームカラーががらりと一変。そんな様子に指揮官も「ノリは大事ですからね」と目を細めるばかり。熊本から“吉本パワー”で聖地に殴り込みをかける。