第104回全国高校野球選手権大会の第1日第3試合は延長11回、一関学院(岩手)が昨夏4強の京都国際を6―5で下し、夏30年ぶりの勝利を上げた。

 どちらに転んでおかしくなかった。4点リードから終盤に同点に追いつかれ、延長戦に突入。両者あと1本が出ない展開で迎えた延長11回、一死二塁から寺尾(2年)がバスターでしぶとく中前に運び、劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。

 寺尾は「自分は長打が打てないので、後ろにつなごうと思った。振り抜いたのがよかった。バスターの方が低い打球が飛んでいく」とあふれ出る汗を拭った。投げては9回途中からリリーフでマウンドに上がり「初戦勝てたことは、自分たちの目標に向けていいスタートになった」と笑顔を見せた。

 2020年の夏、長らく続いた花巻東、盛岡大付の〝2強〟状態を打ち崩して岩手を制した。しかし、甲子園大会はコロナ禍で開催中止。先輩の悔しさを目のあたりにしたその時の1年生がチームを引っ張ってきた。県大会の決勝では盛岡中央のプロ注目の剛腕・斎藤を撃破。高橋監督は「斎藤君は素晴らしい投手。決勝で斎藤君とできたことがいい経験になった」とし、寺尾も「速い球を見ることができたので、甲子園につながったと思う」と振り返った。

 斎藤に続いて京都国際の好投手・森下も退け、指揮官は「集中力を切らさず戦った。絶対に負けない、という気持ちが相手より上回ったのかなと思う」と選手の成長に目を細めていた。