中盤で試合を振り出しに戻されても慌てなかった。第104回全国高校野球選手権大会は6日、甲子園球場で開幕。大会初日の第2試合で2年連続8回目出場の明豊(大分)が、30年ぶり3回目出場の樹徳(群馬)を7―3で下し、ベスト8入りした2017年以来5年ぶりとなる初戦突破を果たした。

 3点差を追いつかれた直後の6回一死一塁から、8番の牧野太一(3年)が右翼へ適時三塁打を放って勝ち越しに成功。8回にも無死二、三塁から牧野が放った遊ゴロの間に走者が生還し、さらに森山(2年)の中前適時打、高木(1年)の右翼への適時三塁打でこの回一挙3得点を奪って突き放した。

 終わってみれば、12安打7得点を叩き出して快勝した。県大会では準決勝まで4試合連続のコールド勝ちをマークし、決勝を含めて計5試合52得点。チーム打率3割6分9厘を記録した自慢の攻撃力が、本大会でも光った。

 投げては野村(3年)坂本(3年)、そして今夏初登板となった森山(2年)と3投手の継投を駆使して逃げ切った。

 殊勲の決勝打を放った牧野は試合後、6回の打席について「あの場面は、どうしても点が欲しいところだった。前の2打席で打てず、チームの流れを悪くしてしまっていた。いい結果が出て本当に良かった」と振り返った。

 チームで副主将を務める牧野は学校内でも今年5月から生徒会長に選出された。チームメートはもちろん、校内の生徒たちからも頼りにされる〝二刀流〟だ。「学校には支援や応援をしてくださる方がたくさんいる。生徒会長をすることで、学校に恩返しをすることができればと思っている。これからの試合でも恩返しをしたい」と目を輝かせた。

 夏1勝を飾った川崎絢平監督(40)は「大分代表として出させてもらって(2年連続で)夏初戦で連敗して帰るわけにはいかない。何としてでも初戦は取らなきゃいかんと。いかに平常心でいつも通りでできるかがカギになると選手たちには、そればかり言ってきた」と力強くコメント。

 昨年センバツで準Vのチームが掲げる今大会の目標は無論「日本一」。一戦必勝で頂点へまい進する。