<ズームアップ甲子園>第87回選抜高校野球大会第3日(23日)第2試合に優勝候補の筆頭・仙台育英(宮城)が登場した。大会注目の右腕・佐藤世那(3年)は151球の力投で神村学園(鹿児島)を完封、12―0の大勝に導いた。そんな佐藤世は、あのSMAP・木村拓哉と“因縁”があり、さらにはグラウンド外でも“スーパースター”だ。

 完封勝利にも佐藤世は「力んでしまい、修正まで時間がかかってしまった。70点です」と反省しきりだった。5四死球で何度もピンチを招くなど本調子ではなかった。それでも点を許さなかったところが、このプロ注目右腕の地力の高さだ。

 そんな佐藤世とキムタクとの“因縁”。それは「父が考えてくれました。すごく気に入っています」という名前の世那(せな)にあった。父・慎一さん(47)は、自身が外国人から名前を呼ばれる時に「しいち」という発音になるのが、気になり、息子には、外国の人でも発音しやすい2文字の名前をつけたいと思ったという。

「音速の貴公子」と称され、F1史に名を刻む名ドライバーのアイルトン・セナにちなんだ「世那」だが、1996年にフジテレビ系の月9枠で放送された大ヒットドラマ「ロングバケーション」でキムタクが演じた主人公「瀬名秀俊」の「瀬名」でもある。ゆくゆくはキムタクみたいに“出世”してほしい、ということだろう。

 さらに佐藤世はグラウンド外でもチームの“スーパースター”という。ただし、こちらはキムタクみたいな二枚目ぶりではない。「エースってクールなイメージがありますが、あいつは正反対。あれだけの選手だからモテないことはないと思いますが『三枚目』ですね。あいつは笑いのセンスを持ってる。自分のギャグセンスを大事にしていて、いつもオリジナルの笑いを提供してくれます」と選手の一人は証言。なかでも柔らかい肩回りの筋肉を生かして、マエケン体操ばりに車輪のように腕を回す「機関車」というギャグが“鉄板”とか。

 仙台育英では日常的に“お笑い大会”が開催されており、佐藤世は常時出場。「誰かを笑わせるまでギャグを繰り出し続けなければならない」という過酷なルールでも佐藤世はほとんど「すべらない」そうで「あいつのおかげでチームが明るくなる」(ある選手)とまでいわれている。

 プロが熱視線を送る“みちのく右腕”はグラウンド内外で魅力いっぱいだ。