第103回全国高校野球選手権大会の第11日目(24日、甲子園)、第4試合で石見智翠館(島根)が劇的サヨナラで日大山形を5―4で下し、18年ぶりの8強入りを果たした。

 一進一退の接戦に決着をつけたのは1年生だった。4―4で迎えた9回、無死二、三塁から今泉(1年)がエンドランのサインを空振り。三走が挟殺され、一死三塁となったが、今泉は気持ちを切り替え、大類(2年)の縦のスライダーを中前にはじき返した。会心のサヨナラ打に、今泉は「これでまた3年生、2年生と野球ができるぞ、と思った。最高でした」と興奮を抑えきれなかった。

 末光監督は「苦しい状況でも投手が粘った。逆転されても勢いがあったので、それが最後につながったんじゃないかと思う」と先発した山崎琢(3年)と山本(2年)の力投をほめた上で「今泉は当て勘がいい。1年生なんでまだ体力的には足りないが、ボールをとらえる感覚はいいものを持っている。走るのはめちゃめちゃ遅いが、それ以外は期待してる」と評した。

 三塁手だった宮本(3年)が県大会前に左手を骨折。末光監督は捕手だった今泉を三塁で起用したところ「意外と粘り強く守ってくれた。県大会もうまくさばいていた」。今大会から復帰した宮本は外野に回り、1年で唯一のスタメン出場。大舞台で打撃センスを見せつけた今泉は「エンドランは得意のサインだったけど、決められなくて失敗して悔しかった。でも切り替えてレフト方向をねらえ、と監督に言われて切り替えられた。自分は大舞台に慣れてないけど(バットに)当てるというのは自信ある」と胸を張った。

 準々決勝の相手の強豪・智弁和歌山。今泉は「体がとても大きくてすごい打者がいる。最後まで粘り強く、あきらめず、泥臭くやっていきたい」と力を込めた。