大逆転で優勝候補を撃破した。第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)は23日に第10日目を迎え、第1試合で近江(滋賀)が大阪桐蔭を6―4で下し、16強入り。2018年以来、3年ぶりとなる3回戦進出を果たした。

 序盤から2回までに4点をリードされる苦しい展開となった。それでも気持ちを切らさず1点ずつ返しながら、じわじわとプレッシャーをかけ続けた。

 3回一死一、三塁から2番・西山(3年)がスクイズを決めて反撃の狼煙を上げると、4回にも5番・新野(3年)が右越えのソロ本塁打を放ち、これで2点差。5回には4番・山田(2年)の左犠飛で1点差とし、7回には再び新野に右前適時打が飛び出して同点としていた。

 そして4―4で迎えた8回にクライマックスが訪れた。二死満塁から途中出場の3番・山口(3年)の左翼線2点二塁打で2点を奪い、ついに勝ち越し成功。最大4点差を終盤でひっくり返す〝ミラクル勝利〟を手繰り寄せた。

 立ち上がりは安定しなかった2年生右腕の先発・山田も3回以降はヒット1本に封じ込めるなど完全に立ち直り、終わってみれば6回4安打4失点、7奪三振の粘投。7回からは背番号1の岩佐(3年)が継投し、1安打無失点で抑え切った。

 試合後の多賀章仁監督は会見で開口一番「いや、もう信じられないですね、まだ…」と一言。「悪い立ち上がりの流れから、よう打ち直してくれたなと思う。山田の4回、5回、6回のピッチングはゲームをもう1回引き戻してくれた。守りから攻撃ということで言うならば、あの攻めの投球が終盤、7、8、9に逆転の流れが作れたんじゃないかと思う」とも続け、激闘を振り返った。

 そして「こういう経験をした彼らはまた一段と力を持つ。甲子園に育ててもらっている。大阪桐蔭に勝てたことは大きな自信。次の試合もチャレンジ精神で食らいついていく」と言葉に力を込め、次戦に闘志を燃やした。

 次の3回戦は25日、第4試合で盛岡大付(岩手)と対戦する。