第103回全国高野球選手権大会(甲子園)第9日の22日、第1試合は名門・明徳義塾(高知)が明桜(秋田)を8―2で退けた。

 名将・馬淵史郎監督(65)の洞察力、采配がズバリ的中した。最速157キロを誇る相手エース・風間球打投手(3年)への攻略法が奏功。県大会から盗塁「0」のチームが、序盤から足を使った攻撃で揺さぶりをかけた。制球が乱れると徹底して見極め、際どい球はバットをギリギリまで短く持ってファウルにした。

「クイックになるとストライクが入らなくなる感じ。けん制もあまりうまくない。とにかくランナーを意識させようと思った」。クイックとけん制に難があると分析した知将ならではの作戦を、鍛え上げられたナインが実践。3回までに75球、5回までに118球と風間の球数はかさんだ。結局6回139球を放らせ、リードを奪った状態で降板に追い込んだ。

「速い投手から緩い投手になると打ちやすい」。風間降板後は一息つく間もなく、すぐさま加点。7回に三重盗で3点目を奪い、山陰(3年)の2点打で突き放した。8回に1点を返された後の9回には相手失策も絡んでダメ押しの3得点。随所に隙のない、したたかな野球を展開した明徳ナインが、馬淵監督に甲子園通算53勝目をプレゼントした。

 プロ注目右腕を攻略しての完勝劇。「1秒でも長く甲子園におりたいと思ってます」(馬淵監督)。明徳義塾のエンジンがかかってきた。