強豪同士の一戦は明徳義塾(高知)に軍配が上がった。第103回全国高等学校野球選手権大会の第3日(15日)第2試合で県岐阜商(岐阜)と対戦し、3―2でサヨナラ勝利。2回戦進出を決めた。

 3日連続の雨天順延を経て、この日も朝方まで降り続いた雨の影響で、当初の予定よりも約3時間遅れでプレーボールとなった1回戦。ロースコアの接戦は最後に劇的な幕切れが待っていた。

 2―2のまま迎えた9回、安打と犠打で二死二塁の好機を作ると3番・森松(3年)が放った打球は中堅の頭上を越え、サヨナラ打。グラウンド上に歓喜の輪ができ上がった。

 ヒーローの森松は「最後の打席に入る前(馬淵)監督から『ここに何しに来たんや』と言われ、それが気持ちとなって打てた1本だと思う」とコメント。

 先発マウンドに立ったプロ注目左腕・代木(3年)はやや苦しみながらも6回途中までを投げ、3安打1失点。バトンを引き継いだ変則左腕・吉村も相手の強力打線を3安打1失点でしのぎ、両左腕のリレーでゲームを作った。

 試合後の馬淵史郎監督(65)は「本当に苦しい試合だった。終盤まで行くのであれば明徳のペースかなと思っていた。運よく勝てたが、終わってみれば明徳の野球ができたのかなと思っている」と安どの表情を見せ、冷静に振り返った

 県岐阜商を率いる百戦錬磨・鍛治舎巧監督(70)とのマッチアップは「名将対決」としても注目を浴びた。それでも指揮官は「あちらは名将でも、僕は名将じゃないんで。あえて言うなら(〝迷将〟の)『迷う』ほうですけど」と謙遜しながら苦笑い。そして「何とか胸を借りてやらしてもらいました。大先輩相手に野球をするというのは、甲子園でそう何回もない。この年になると年下ばかり。いい試合ができたんじゃないかと思う」とも続けた。

 これで明徳義塾は聖地で春夏通算60勝をマークし、節目の白星。そして馬淵監督自身にとっても甲子園通算52勝目となり、歴代単独4位に浮上した。

 自らの偉業達成について指揮官は「それは僕がやったんじゃない。明徳の選手たちが積み上げたものが僕の勝ち星になっただけ。長いこと30年ぐらいやって甲子園に出て行けば、これぐらいのことにはなるでしょう。これは選手に感謝するしかない。監督の力で52勝を作ったわけではない。歴代の選手たちが一生懸命やった結果が、こういう形になったと思う」と謙遜しながら、しみじみと語っていた。