波紋は広がる一方だ。高校野球・夏の甲子園を目指す各地の地方大会で新型コロナウイルスの影響により、出場辞退に追い込まれる学校が相次いでいる。

 これまで福井商(福井)、中越(新潟)、米子松蔭(鳥取)などが、学校関係者にPCR検査陽性者が出たことで出場を辞退。野球部内において発生したケースではない事例もあることから、元大阪府知事の橋下徹氏(52)が自身のツイッターで「こんなアホなルール決めたんは誰や!」と苦言を呈するなど、SNSやネット上では「あまりにも厳し過ぎるのではないか」「3年生の部員は一生のトラウマになってしまう」「東京五輪はOKなのに、なぜ高校野球ではNGなのか」などといったブーイングが広がっている。

 管轄する各都道府県の高野連の中にも困惑が広がっている。東日本に属する県高野連関係者は「これは起こるべくして起こってしまったこと」として、こう続けた。

「最初からトップの日本高野連でコロナ感染に関する統一の規定をしっかり決め、それを県大会で各地域ごとの高野連に順守させる形を取っておけば、このようなことにはならなかったのではないか。各地域ごとの高野連の判断にほぼ投げっ放しで任せっきりにしていることも、こういう事例につながった。それにいずれの場合も『辞退』となっているが、これではまるで学校側が判断したかのように受け取られる。簡単に言えば、誰も責任を取りたくないから責任転嫁に終始した結果、こうなってしまった」

 何とか救いの手を差し伸べることはできないのか。この関係者は「恥ずかしい話だが、高野連の組織の中だけではどうしようもない。世論が大きくなって、それこそ文部科学大臣の萩生田(光一)さんや首相の菅(義偉)さんらが、この問題に進言するなら高野連全体も動かざるを得なくなる。東京五輪はコロナ禍にもかかわらず周辺関係者に陽性者が出ても参加OKなのだから、それを〝容認〟している政府側が『高校野球も五輪と同じルールで』と言ってくれれば解決の糸口も見えてくるかもしれない」と話した。