高校球児100%がタイブレーク導入に「NO!」

2014年08月10日 16時00分

開会式のリハーサルを行った球児たち

 真夏の熱戦、第96回全国高校野球選手権大会が今年も甲子園球場で始まるが、日本高校野球連盟で導入が検討されている“タイブレーク方式”には球児たちが「反対!」のシュプレヒコールを上げた。春夏の甲子園大会で選手の体調面を考慮し、高野連は全加盟校にタイブレークの可否を問うアンケートを実施。結果を8月末までに集約して議論を進め、決まれば来春にも導入される。しかし、本紙が今大会出場の球児50人に緊急アンケートを実施したところ、100%が「NO」の返答。“当事者”たちの訴えとは――。

 

 球児らは黙っていなかった。ある関東の高校の選手が「心配してくれるのはありがたいけど、僕らは延長15回までやれるようにトレーニングをし、そのつもりで体づくりをしてきた。全然今まで通りで問題ないっすよ。それまでの流れもあるし、見てる方もその方が面白い。絶対、反対です」と言えば、東海地区の高校の選手も「なんで打たれてもないのに走者を出さないといけないんですか。そんなので負けたら一生悔いが残ります。制限されたくない」と訴えた。

 

 関西地区のある投手は「僕は15回投げたこともありますが、投げる側としても走者なしの方が勝負として納得できる。中途半端な終わり方になる。疲労はたまってもそれも勝負のうち。そのためにここまでやってきたんです」ときっぱり。九州地区の選手も「早く終わらせることを前提にすると余計にピッチャーの重圧になる。目先の判断なんじゃないか」と首をかしげ、導入に賛成する球児は1人もいなかった。

 

 タイブレーク制は選手の体調管理を目的とし、延長戦で人為的に走者を置いて早期決着を図る特別ルール。すでに明治神宮大会や国体などで導入され、延長10回以降の攻撃を一死満塁の状態からスタート。社会人でも都市対抗大会で2003年から採用(現在は、延長12回から一死満塁で開始)し、プロが参加するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも09年の第2回大会から実施(延長13回以降は無死一、二塁で開始)されるなど広がりを見せている。

 

 今春の選抜大会で2回戦の広島新庄(広島)―桐生第一(群馬)が延長15回引き分け再試合となり、当初の日程から2日順延したことで準々決勝翌日の休養日が消滅。いずれかのチームが決勝まで勝ち上がると5連戦の過密日程となる可能性もあった。特に先発投手の疲労が心配されており、昨春の選抜大会で済美(愛媛)の安楽智大投手が、3連投を含めて5試合で772球を投げ、米国メディアなどがこぞって批判。その後、安楽は夏の大会も出場し、秋に右ヒジを故障。今夏の甲子園出場も果たせていない。

 

 球児らはそんな流れも承知のうえで、安楽の例についても「たとえダメになっても投げたい、と思うのがピッチャー。安楽もそう。それに1人に負担をかけないためにも2番手、3番手のピッチャーをしっかりさせる必要もある。それがチーム力でしょう」(東北地区の選手)とエースだけに頼らないチーム作りが必要とした。

 

 高野連関係者は「集計しないとどうなるかはわからない。監督だけの意見や選手の声が反映される返答もあるかもしれない。部員の多いチームもあればそうでないチームもある。体調面はしっかりやっていかないといけない」としているが、球児の叫びは届くか…。