天理(奈良)がベスト4進出を果たした。「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)9日目の29日、第1試合で仙台育英(宮城)に10―3と勝利し、24年ぶりの4強進出を果たした。

 プロ注目の193センチ右腕・達孝太投手(3年)が計8四死球と不安定ながらも仙台育英打線を8回3失点に抑える粘投でチームを勝利に導いた。先制の2点をもらったエースの立ち上がりは初回先頭から2者連続で空振り三振を奪う上々のスタート。続く相手の3番から3者連続の四死球を与え、まさかの二死満塁としてしまったが、次打者は二ゴロに封じて得点を与えなかった。

「初回の入り方を間違えた。今日はギアを上げ過ぎ。感覚をつかめてきてから全力で放るんだったらいいが、先頭打者、2人目、3人目も全部力任せにいってしまった。その部分は一番ダメだったかなと思う」

 序盤で苦しんだエースを打線が援護した。2―2で迎えた4回、バッテリーを組む9番の捕手・政所(3年)、1番・内山(3年)の連続適時打が飛び出し、一挙4得点を奪ってリードを広げることに成功。ここから達も「4点とってもらって気持ちのスイッチが入った」ことで本来の投球がよみがえり、最速146キロの直球やフォークボールを駆使しながら最後まで相手のリードを許さなかった。

 9回はリリーフの仲川(3年)にマウンドを譲ったが、それでも8回164球の力投。1回戦(20日)の161球、2回戦(25日)の134球に続く164球の熱投となった。今大会では「1週間で500球まで」の球数制限が設けられており、この日の164球は2回戦、そして次戦31日の準決勝が積算対象となるが、残り202球でまだ〝猶予〟がある。

 自らに厳しいエースは試合後「今日はもう0点です。全然良くない。自分の理想とするピッチングは9回投げて無失点でヒット1個、四球1個ぐらい。3失点というのはまったく納得がいかない投球」と反省の弁に終始した。

 天理の準決勝進出はセンバツ優勝を果たした1997年以来となった。悲願のVまで、あと2試合。向上心旺盛なエース・達がナインとともに見えてきた全国の頂点を目指し、ラストスパートをかける。