校長監督“続投”の怪 これがPL野球部内紛の全容

2014年08月01日 06時30分

PL学園の正井“校長監督”(左)と深瀬コーチ

 第96回高校野球選手権・大阪大会決勝(7月30日、舞洲ベースボールスタジアム)で、2009年以来5年ぶりの甲子園出場を目指したPL学園は1―9で大阪桐蔭に敗れた。度重なる不祥事もあって監督も決まらず、昨秋から野球未経験の正井一真校長(66)が監督登録でベンチ入り。そんな異常事態の中、大健闘の夏となったが、今後のPLはどうなるのか。吉村禎章氏(51)、桑田真澄氏(46)ら大物OBの新監督就任はあるのか。現状に迫った。

 事実上監督不在の中で決勝まで進んだPL学園。猛打の大阪桐蔭に敗れ、5年ぶりの甲子園出場は成らなかったが、大健闘の夏だった。野球未経験の校長監督をナインがカバー。投手の継投などは中川圭主将が決め、ベンチからは背番号14の宇佐美がサインを出した。正井校長は「最後の最後まで頑張っていた。生徒のおかげで人生の後半期にいい経験をさせてもらった」と感謝の思いを口にした。

 9回には宇佐美が一死満塁で代打として初登場。二ゴロに終わったが、チーム唯一の打点を挙げ「最後打席に立たせてくれてうれしかった」。中川圭主将は「一つ一つのプレーに責任を持ってやれば結果はついてくるし、勝ち進むこともできた。悔いはない」と声を震わせた。

 昨年2月に部内暴力の不祥事が発覚し、同4月に当時の河野監督が辞任した。後任監督が決まらず、昨秋から正井校長が監督登録でベンチ入りする異常事態となり、そのまま今夏を迎えての大阪大会準優勝。だが、この状況でいいわけがない。今後のPL学園はどうなるのか。同校関係者はこう嘆く。

「今、PLは教団、学校、野球部の現場、野球部OBがそれぞれ全く別の方向を向いている。正直、学校がサポートに力を入れたら、これまでの伝統があるし、強力なOBを擁するという意味でも他の学校には決して負けないのに…」

 まずは正式な監督を決めることが先決だろうが、そもそも、ここまで監督が決まらなかったのもPL教団幹部の意向が強いという。現在の野球部には指導者が不在というわけではない。今夏「サブノッカー」としてベンチ入りした深瀬猛氏(立浪、片岡、野村、橋本世代)らOBが中心となって選手の指導にあたっている。本来なら深瀬氏が監督に就任する流れだったが…。「深瀬は教団に認められていないので難しいでしょう」(PL関係者)。実際、教団幹部は就任を却下したという。

「深瀬が暴力事件の時のコーチだったというのもあるかもしれませんが、今の教団幹部が『OBには監督をやらせない』と言って聞かなかった。監督なんか校長で十分と思っているようで、とにかく数々の不祥事を起こした野球部に対し、教団幹部のアレルギーが強い。これまで野球部OBは卒業してしまうと、野球部に寄付はしても、教団への寄付はほとんどしてこなかった。だから教団幹部には『野球部OBには信仰心がない』という積もり積もった思いもある。これまで野球部を強力に支援していた女性幹部が昨年亡くなったことも影響している。野球が大好きな先代の教祖の時はこんなことは考えられなかった。教団幹部が考え方を改めない限り、PLの復活はありえません」(PL関係者)

 では、どうなれば教団側は考え方を改めてくれるのか。

 本紙評論家でPL学園出身の得津高宏氏は「甲子園に出場し、信者が増えればまた野球に力を入れようと考えてくれるかもしれません。今回、甲子園にはいけませんでしたが、決勝に進んだことで大きな注目を集めることはできた。これで信者が増えればあるいは…。PLは野球で有名になったんだということを思い出してほしい。教団が野球に力を入れようと決断してくれれば、すぐにでも深瀬が監督に就任できるでしょうし、近い将来、たとえお金がかかるとしても桑田や吉村にお願いしようという流れにもなるかもしれない」と話した。

 ただ、問題はほかにもある。別の関係者は「深瀬たち3人のコーチは現場で少し浮いているそうです。あまり人望もなく現場でもポツンとしている。サポートしてくれるOBたちに対してあいさつをしない上に“現場に来てくれるな”という雰囲気を出して、一部のOBを激怒させたとも聞きます。曜日ごとにコーチが違い、アルバイトのシフトのようになっている」とも話す。

 さらには絶対匿名を条件にこんな話も…。

「父兄からも不満が続出している。具体的には練習が1時間半しかできない、自主練も満足にできない、毎週水曜日が休みなど野球の環境に不満がある。野球をやるということで入ったのに野球をさせてもらえない、話が違う、となっている。一部の父兄は一致団結して裁判を起こそうという動きもある」

 正井校長は次期監督について「信仰心を持って野球に取り組む人」を挙げ、合致する人物が現れるまでは引き続き自身が暫定監督を務める予定という。「信仰心」ということはやはり、教団に寄付のない野球部OBはNGということなのか…。

 本紙評論家でPL学園出身の朝井秀樹氏は「後輩たちにはこれで諦めることなく甲子園にいってほしい。野球部がなくなるわけではない。来年の春も夏もチャンスはある」とエールを送るが、名門再建への課題はまだまだ山積みのよう。ただ、こんなグチャグチャな環境でも決勝まで進んだ選手たちはすごいというほかない。