福岡大大濠(福岡)が見事にリベンジを果たした。「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)3日目の22日、第2試合で大崎(長崎)に2―1で勝利。昨秋の九州大会決勝で敗れ、涙を飲んだ因縁の相手に借りを返した。

 エース左腕・毛利海大(3年)の快投がキラリと光った。切れの良い直球に鋭いスライダー、チェンジアップに加え、カーブも織り交ぜながら大崎打線を手玉に取った。6回まで走者を三塁に進めず、僅か1安打の無双投球。やや疲れの見え始めてきた7回に連打を許して二死一、二塁から適時打を浴びたが、1失点で踏ん張った。

 圧巻だったのは1点差に迫られた直後、自らが「ギアを上げた」と評した8回の投球だ。ボール先行にさせることなく強気の攻めで相手打者を翻弄し、この試合で2度目となる3者連続の三振。いずれもウイニングショットでは捕手の要求通りに外角いっぱいに投げ込み、バットに空を切らせた。

 終わってみれば9回を143球、4安打1失点1四球、10奪三振で完投。試合後のエースは「(昨秋の九州大会で)1回やられている。その借りじゃないが、それを返すというイメージで投げた。真っ直ぐも走ってくれていたし、その中のチェンジアップであったり、緩急も使えていた。それが三振の数にもつながったかなと思う」と満足げに振り返った。

 九州大会準Vに終わった悔しさを胸に冬場は走り込みを重視し、下半身を強化。その猛トレーニングによって強固な土台ができ上がり、大幅な制球力アップにもつながった。それまで多投していなかったカーブも試行錯誤の末に新たな武器として取り入れ、速球と約40キロの球速差を生み出すことで打者を幻惑できるようになった。

 そんな努力家エースが目標としているのは、同じ左腕で楽天のドラフト1位ルーキー・早川隆久投手(早大)だ。

「投球フォームをマネしている。体重移動の仕方をお手本にしていて、そこから制球力も生まれてきた。良かったと思っている」

 八木啓伸監督(43)からも「ストライクゾーンの中で勝負できるようになっている。成長していると思う」と称えられた。2回戦は26日、相手は九州大会準々決勝でも対戦した具志川商(沖縄)。プロも注目する毛利のマウンドには今後、熱い視線が注がれそうだ。