第93回選抜高校野球大会(甲子園)は21日、予定されていた3試合すべてが雨天中止となった。九州勢4校が一気に登場し「21世紀枠」同士の対戦、昨秋の九州大会決勝の再戦など話題性豊富な大会第3日は、22日に開催される。

 予定通り午前8時に開門したが、その40分後に順延が決まった。せっかくの晴れ舞台を泥んこでプレーするより、グラウンドコンディションが整った美しい聖地でプレーしたい――。選手ファーストの視点に立てば、歓迎すべき英断だったと言える。

 だが、一方で「この日しかチャンスがない人」たちもいた。応援団だ。普段から地元の理解や支援を得て、甲子園出場をつかみ取ったチームも多い。八戸西(青森)との「21世紀枠対決」に臨む具志川商(沖縄)もその一つ。複雑な胸中を明かしたのは、喜舎場正太監督(33)だった。「応援団の方々は昨日こちらに入って、今日試合を見て、早い人は今日帰るという人もいらっしゃると聞いています」。

 例年より早く、先月23日に決まった今大会の組み合わせ。日程を調整し、週末を利用して現地入りした応援団もいたことだろう。チームを陰ながら支えてきた人たちへの日頃の恩返しの場でもあっただけに、喜舎場監督は「この延期は応援団への影響というところでは大きいのかなと思います」と、水入りを悔やんだ。

 選手にとっても晴れ舞台だが、聖地でプレーする球児に夢を託した人たちもいる。春夏通じて初の甲子園出場。記念すべき初戦は見届けられずとも、勝てば観戦チャンスはつながる。志は高く「21世紀枠最高成績の4強超え」を掲げる具志川商。泣く泣く引き返した応援団を再び、甲子園に呼び寄せる――。