長身エースが気迫の完投勝利だ。天理(奈良)は「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)2日目の20日、第1試合で宮崎商(宮崎)に7―1で快勝。6年ぶりのセンバツ白星を挙げ、2度目の春制覇へ向けて好スタートを切った。これで同校の春夏甲子園通算勝利は単独6位の76勝となった。

 プロ注目の193センチ右腕・達孝太投手(3年)が強打の宮崎商打線を6安打1失点に抑え込み、161球で完投勝利を飾った。自己最速タイとなる146キロの直球を主体に多彩な変化球も組み込みながら、宮崎商打線の攻撃を寸断。序盤は制球に苦しんで球数を増やしたが、初回、2回、7回と走者をためてピンチを背負うも本塁を踏ませなかった。8回に1点を失って完封こそ逃すも要所を締める投球が光った。

 試合後のエースは「立ち上がりから状態がうまくいかなくて球数が結局多くなってしまったが、勝ててホッとしている。9回を投げ切るつもりだった。走者が得点圏に入った時にギアを上げられた」と安堵の表情を見せた。

 達はバットでも2回にチーム2点目となる右前適時打を叩き出すなど投打で奮闘。これに触発されるように打線も終盤の波状攻撃で加点し、試合を決めた。

 中村良二監督(52)も力投のエースについて「彼なりにしっかり投球を組み立てて、9回投げ切ってくれたのは良かったと思う」とコメント。チームを2度の全国制覇に導いた橋本武徳前監督が昨年10月に逝去してから初の全国大会での白星スタートには「試合が終わって、いい報告ができるかなと思う」と笑顔を見せていた。

 24日に予定されている大会6日目の2回戦では第3試合で関東王者・健大高崎(群馬)と対戦する。