【甲子園交流試合】プロ注目の明石商エース・中森〝声掛けスルー〟は暗黙の了解だった

2020年08月17日 06時15分

9回のピンチにマウンドに集まる中森(左から2人目)ら明石商ナイン

「2020甲子園交流試合」5日目の第1試合は、明石商(兵庫)が桐生第一(群馬)を接戦の末に3―2で下した。プロ注目の明石商エース・中森俊介投手(3年)が115球を投げ切り完投。最速150キロの真っすぐに、3死球を与えながらも内角を突く強気の投球で9三振を奪う力投だった。

 将来的にプロで活躍することを思い描く右腕には、らしいエピソードがある。中森がマウンド上で、とにかく大事にしているのが集中力。〝一人の世界〟に入り込める時ほど高いパフォーマンスを発揮できるという成功体験に基づくもので、あることを実践してきた。

 中森と切磋琢磨してきた2番手投手の中野(3年)が証言する。

「中森はマウンドで表情を変えませんし、集中するために仲間の声掛けにもあえて無反応なんです。最初はなぜ返答がないのか、正直みんな疑問でした。それである時、理由を聞いたら『本当にごめん。ちゃんと声は聞こえてるんだ。でも、声掛けに一つひとつ反応すると、そこで集中が途切れてしまう。だから理解してくれ』って。高い集中力を長くキープするために、無反応を決め込んでいるんです」

 かといって、声掛けはチームの士気にかかわるだけにナインもやめるわけにはいかない。「本人には届いてるんで、みんな理解した上で声を掛けていました」(中野)。仲間がもり立てる声を中森がスルーしても、それが日常。〝ゾーン〟に入っている状態を維持するため、明確な意図があっての声掛けスルーだったが、マウンドを降りれば、いじったりいじられたりと、コミュニケーション能力抜群のエース。お互い信頼あっての〝中森スルー〟は、チーム内の暗黙の了解だった。

 試合後「完封していい投球ができればプロでやれる自信がつくと、そういう気持ちでマウンドに上がったんですが、まだまだ実力が足りないです」と語り、進路についてはプロ入りか大学進学か明言を避けた中森。どんな時も信念を貫き通すことは成功者に必要な要素の一つでもある。次なるステージでも〝中森スルー〟が見られるはずだ。