注目の進路はいかに――。「2020年甲子園交流試合」の第3日(12日)第1試合で中京大中京(愛知)のプロ注目の154キロ右腕、高橋宏斗投手(3年)が登場した。

 智弁学園(奈良)相手に150キロ台の速球を連発し、初回に152キロ、9回にはこの日最速の153キロをマークするなど剛腕ぶりを発揮。チームはタイブレークの延長10回にサヨナラ勝ちし、149球を1人で投げ抜いた高橋は5安打、3失点、11奪三振の評判にたがわぬ力投を見せた。

「きつかったけどエースとして投げ切らないといけないと思った。3点に抑えられたのはサポートのおかげ。変化球で打たれたら悔いが残るけど、真っすぐなら残らない」と汗をぬぐった注目右腕を巡って、気になるのは今後の進路だ。

 高橋は兄の在籍する慶応大進学を希望していると見られ、この日も「進学を考えている。大学でしか学べないこともあるし、大学を通じて多くを発信したい」と話した。一方でプロ志望届を出す可能性も残しており「プロでできることもあるし、メリットとデメリットはあると思う」と含みを持たせている。

 今年の高校生ナンバーワン投手をプロスカウトがこのまま見過ごすはずがない。あるセ・リーグのスカウトは、高橋の進学希望発言にも「翻意する可能性は十分ある」と涼しい顔だ。

「進学しか考えてないならもう監督に伝えているはずだし、校名を公表していてもおかしくない。まだ自分の力がプロから見てどれくらいなものか、彼自身分かっていない。去年の秋からグングン球速を伸ばしているし、走者を背負ってからのすごい投球は昔の江川さん(元巨人)のよう。1巡目指名は間違いない。本人がそういうプロの評価を聞いて、親と相談してから判断する。大谷(エンゼルス)だってあれだけメジャーにこだわっていたのに日本ハムに行った。高校生は分からないよ」

 今年のドラフト会議は10月26日。例年ならプロ志望届の提出期限は2週間前までだが、果たして高橋の選択は…。