高校野球はコロナ禍で春も夏も中止になったものの、センバツ出場予定32校は交流試合(10~17日)として甲子園で熱戦を繰り広げている。ABCテレビは「2020高校野球 僕らの夏」(同期間=関西ローカル)を放送。古田敦也氏(野球解説者)とともにMCを務める同局のヒロド歩美アナウンサー(28)に高校野球への思いを聞くとともに、彼女の魅力に迫った。

 ――コロナ禍で高校野球も様変わり

 ヒロド 甲子園の土を踏めるようになったとはいえ、夏の大会が中止というのは事実。この事実に大きく向き合わないといけないと感じてます。

 ――取材の難しさ

 ヒロド 確実にあります。学校に行けないので何をどう取材すればいいのか。リモートもひとつだとは思うんですが、センバツ中止が決まった時にまず32校にお手紙を出したんです。それがきっかけで、今度は夏の大会の中止が決まったので幅広く全国の高校に手紙を書こうと思って、450校くらいに書きました。高校生以来のペンだこができたくらい。文章も悩みましたが、たくさんの高校からお返事をいただき、直筆の返事から彼らの思いがヒシヒシと伝わってきた。「今年はこれが私の取材だ」と感じました。

 ――印象に残った手紙

 ヒロド ありすぎて。お写真と一緒に自分たちの学校をアピールしてくださったり、部員全員の名前と思いをつづってくれたり。でもほとんどのみんなが、いろんな方の協力で独自大会が行われることに感謝しているって書いていました。こういう状況でも周りへの感謝ができることに驚きました。

 ――注目校や注目選手は

 ヒロド 学校や選手より開幕試合ですね。2020年、最初に(甲子園に)足を踏み入れる2つの高校ということで注目してます。結果よりも、どんな表情で入ってくるのか。

 ――古田氏とのコンビ

 ヒロド 毎年隣で試合を見てますけど、これほどの特等席はないです。古田さんは「なんでこうしたか分かる?」「このプレーのすごさ分かる?」って聞いてくれるんですね。それで私のリアクションを見て番組にも反映されるんですけど、ほとんどはお蔵入り。私は球児の気持ちとか背景とかを意識しているのは変わらないですが、いろんな人がうらやましがる場所だろうなとは思います(笑い)。

 ――阪神ファンで知られる。今年の阪神は

 ヒロド 開幕して負けが続きましたけど、盛り返すと思ってましたよ。今年は優勝としか思ってないです。古田さんにマイナス要素を言われても気にしてません。あと、去年のドラフトの前日に「西勇輝-西純矢の継投が見たい」って言ったら本当に西純矢選手の阪神入りが決まって、ちょっとバズったのがうれしかった(笑い)。先日も矢野監督に「西-西継投って実現します?」って聞いたら「ファンが見たいと思うならあるかもね」って。それが夢ですね。

 ――高校野球とプロ野球、どっちが好き

 ヒロド 野球の魅力としては、まず高校野球ですね。高校野球って不思議な力がたくさん宿ってて、ドラマがギッシリ詰まってる。野球のルールが分からなくても大好きな女性ファンがいるのも分かります。

 ――現在は東京勤務。五輪も延期になった

 ヒロド どうなるか分からない状況なので、取材も「1年後に向けて」とか簡単には聞けない。メディア人として寄り添い方が難しいですね。

 ――コロナでバラエティー番組の収録も大変

 ヒロド 浜田(雅功)さんが叩けないですからね。私も相当シバいていただいてたんですけど(笑い)、浜田さんが近づいたら「ソーシャルディスタンスです!」って言わないといけないので寂しい。でも、浜田さんがリーダーとしてスタッフと話し合っているのを見ると、チームで乗り越えるしかないんだなって。それこそ優勝校の監督みたいにドンと構えてくれてて、改めてすごい貫禄だなと思います。

 ――どんな存在

 ヒロド 優しいですよ。お父さんくらいの年齢なんですけど、見守ってくれてます。私、休憩時間によくおなかがすくんですけど「お前、なんか食べたいんやろ」って、ケータリングを取りに行きやすいように道を作ってくれるんです。分からないことがあればアドバイスもいただいてます。

 ――「芸能人格付けチェック」も「トリニクって何の肉!?」も結構難しい問題が多い

 ヒロド 恥ずかしながら本当に分からない。肉を選べって言われて魚を選んだり。高そうに見えるけど、実は安いんじゃないかとか裏をかいて疑心暗鬼になりますね。浜田さんといつも「MCで良かった」って言ってます(笑い)。

 ――浜田、古田氏と、すごい人たちにかわいがられている

 ヒロド 本当にありがたいです。毎回かみしめてます。

 ――アナウンサーとして目指すところは

 ヒロド 自分が最初の人、パイオニアになりたいというか。とがった感じに聞こえちゃうかもしれないんですけど「ABC初めての○○」みたいなのに達成感を味わうタイプです。

 ――達成度は

 ヒロド まだまだ。ヒロドだったら、スタッフも安心できると思ってもらえるような人になりたいです。あと、局アナって意見を言わないっていう風潮が強いんですけど、経験を増やして視聴者に寄り添った意見、ちゃんとした自分を主張できるアナウンサーになりたいですね。(フジテレビの)三田(友梨佳)さんとか、すごくかっこいいと思います。

 ――改めて「――僕らの夏」の意気込みを

 ヒロド コロナで取材が規制される中で、最大限、自分ができることとして手紙を書いてきました。それを皆さんに共有していただいて、その場の取材以外の深いところをお伝えできたらと思います。今回は勝ち進んでいく試合ではないですし、皆さんに背景をくみ取っていただいて、一試合、一プレーを楽しみにしていただけたら。

 ☆ひろど・あゆみ 1991年10月25日生まれ、兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。2014年、朝日放送に入社し「速報!甲子園への道」でデビュー。16年からは「熱闘甲子園」のキャスターも務める。同局の全国ネット人気バラエティー「芸能人格付けチェック」「そんなコト考えた事なかったクイズ!トリニクって何の肉!?」や情報番組「サンデーLIVE」など、ジャンルを問わず多数の番組に出演中。