とびきりの笑顔に包まれた。創成館(長崎)が大会2日目の11日、第2試合で平田(島根)に4―0で勝利をつかみ取った。

 なかなか連打が出ない中、少ないチャンスをものにした。まず3回に田中雄大(3年)の中前適時打で先制し、7回には長田雄生(3年)の中犠飛で加点。8回には二日一涼介(3年)の左犠飛と猿渡颯の右前適時打で2点を奪い、終盤で突き放しに成功した。

 投げては先発の左腕・白水巧(3年)が5回を投げて2安打無失点。2回こそ3四球を出すなど制球に苦しんだものの本塁は踏ませず、3回以降は立ち直った。6回からバトンを継いだ坂口英幸(3年)もサイドハンド気味のフォームで相手を幻惑し、3イニングを投げて二塁を踏ませなかった。最後は3番手左腕・前田秦志(3年)が締めくくり、ゲームセット。校歌斉唱で列を作ったナインからは自然と笑みがこぼれ落ちた。

 試合後、稙田(わさだ)龍生監督は「1点差の勝負になると思っていたが、打線がよくつないでくれた。もともと守りのチームだったので、ゼロで終わったのが集大成だと思っている。いいゲームだった。この1試合に3年生はすべてをかけていた」と述べた。

 招待試合の出場メンバーに名を連ねたのは全て3年生だ。3月11日にセンバツの大会中止が決まり、悲報を知らされた3年生中心のメンバーたちはその場で泣き崩れた。そのシーンが新聞やテレビの全国ニュースでも取り上げられ、多くの人の涙を誘ったのは記憶に新しい。だからこそ、この日は是が非でも勝ち、そして思いっ切り笑おうとチームの面々は心に決めていた。

 主将の上原祐士(3年)も「勝ちにこだわったゲームだった。勝てて良かったです」と白い歯をのぞかせた。最後に稙田監督が「いろいろなことがあった学年。こういうゲームができたことを含め全てに感謝しつつ、次のステージに進んでいく」としみじみと語っていたのが、印象的だった。