「第29回WBSC U18ベースボールワールドカップ」で5位に終わった高校日本代表は9日に帰国予定だったが、首都圏を襲った台風15号の影響で搭乗機が欠航となり、韓国・釜山で足止めを食らった。出国から帰国まで何かとトラブル続きだったが、ナインはグラウンド内外で絆を深めていた。なかでも今春のセンバツを騒がせたあの2校の選手は今大会を通じて“和解”し、世界を相手に共闘していた。

 チームはこの日、出国時とは打って変わり日の丸入りのポロシャツで正午前に釜山・金海国際空港に到着。しかし、台風15号の影響で使用機が成田空港を出発できず、10時間近くも足止めを食らった。結局、搭乗便は欠航となり、帰国は翌10日に。出国時の“日の丸排除問題”に続き、帰国時までトラブルに巻き込まれ、ナインはグッタリした表情で宿舎に戻った。

 5位という悔いの残る結果に終わったものの、選手たちの結束は固かった。なかでも、今春センバツで話題となったサイン盗み騒動の当事者、習志野の飯塚(3年)と星稜の奥川、山瀬(ともに3年)は合流初日から急接近。代表をきっかけに和解を果たし、奥川はカナダ戦で7回18三振と好投して先発投手としてベストナインに選ばれ、飯塚はリリーフで4試合に登板して防御率0・00とフル回転、騒動を乗り越えて共闘した。

 飯塚は「自分は4月の代表合宿には参加してなかったので、甲子園後に奥川と山瀬が遅れて合流した日が初対面。向こうが2人だったので最初はちょっと話しづらかったけど、山瀬の方から『もう気にしてないから、チームメートとして仲良くやってこうぜ』と声をかけてくれた。あっちでもこっちでも問題になっちゃって『ごめんな』っていうのもちょっと違うけど、そんな感じでした。逆にそれが仲良くなるきっかけにもなりました」と星稜バッテリーとの交流を振り返る。

 スーパーラウンドの前に行われた焼き肉決起集会では「自然と仲のいいメンバーで固まった」(飯塚)と奥川と飯塚が並んで座り、互いの口に肉を運ぶ場面も。また、飯塚が山瀬を遠慮なくイジるなど大会を通じて仲の良さをうかがわせた。

 短い大会期間の中でも絆を深め、精一杯のプレーで世界に挑んだ若侍たち。いつの日か再び日の丸のもとに集うことを誓い合い、それぞれが次のステージへ進んでいく。