【夏の甲子園】星稜ナインを強くした衝撃のひと言

2019年08月22日 11時30分

決勝に向けて調整する星稜ナイン

 第101回全国高校野球選手権大会で、24年ぶりの決勝進出を果たした北陸の名門・星稜(石川)。だが、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。

 今春、チームは「好奇の対象」となった。センバツの習志野(千葉)戦で、林和成監督が相手の「サイン盗み」を疑い、敵将に直接猛抗議。敗軍の将の思わぬ対応が波紋を呼び、指揮官は学校から2か月間の指導禁止処分を科された。この騒動は、高校野球界の枠を超えて多方面で賛否両論が湧き起こり、チームには重圧がかかった。

 学校には批判の声が全国から多数寄せられ、温かく見守ってくれる地元からも厳しい指摘を受けた。その対象はナインにも向けられた。騒動直後、こんな言葉が掛けられたという。

「お前ら、なに言い訳してるんだよ。実力で負けたんだろ。そこに逃げるなよ!」

 ナインが街を歩いている時に、一般人から放たれた衝撃的な言葉だった。

 だが、この出来事が星稜ナインをより一層たくましい集団に変えた。これを聞いた選手らは一瞬動揺したが、すぐに言葉の真意をこう解釈したという。

「ハッとするというか、理解できたんです。この言葉は僕らを強くするために掛けてもらった言葉なんだと。全国の頂点に立つまでの過程では、何が起こるか分からない。真のチャンピオンというのは、どんなことが起こっても、それを実力ではね返す。センバツの段階では、僕らにその実力はまだなかった。もし、今度同じような状況が起きたとしても、次は実力ではね返そうと思ったんです」(あるナイン)

 王者を狙うには「まだもろさがあった」と冷静に受け止めたナインは「何が起こっても実力で圧倒する」を合言葉に石川大会を勝ち抜き、全国大会でもライバルを寄せ付けない戦いぶりで決勝まで駒を進めた。

 センバツは弱いから負けた――。この夏、星稜ナインは決勝の舞台にふさわしいチームになって、聖地に戻ってきた。

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