第101回全国高校野球選手権大会(甲子園)の第12日(18日)、準々決勝4試合が行われ、第2試合で中京学院大中京(岐阜)が6―3で作新学院(栃木)に逆転勝ちし、春夏通じて初の4強入りを果たした。ヒーローは投打で大活躍の元謙太(2年)だ。

 1点を追う8回に左翼ポール際へ逆転満塁弾を叩き込んだ。投げては5回から2番手で2回2/3を無失点。右翼の守備を経て8回から再びマウンドに上がり、今度は2イニングを無失点に抑えた。打っては2安打4打点で投げても計4回2/3をゼロに抑え、試合後のお立ち台では自身の“細マッチョ体形”を誇示しながら「ちょっと詰まったかなと思ったが、気持ちで打った。大好きな3年生とまだ野球ができるのがうれしい」と投打の活躍を素直に喜んだ。

 現在のチームで元ら主戦メンバーたちが念頭に置いているのは「パワーアップ」。昨秋の東海大会で東邦に敗れ、今春のセンバツ出場権を失ってから「自分たちに何が足りないかを考え、さらなる長打力を身につける意味でも筋力を増やそうと考えた」(某選手)。

 冬場に黙々とウエートトレーニングに励んだ結果、ベンチプレスで140キロを上げられるようになった井上(3年)を筆頭に、メンバーたちの数値がアップ。全メンバーを合わせた平均値も10キロ以上増え、トータルで100キロ近くを上げられる“マッスル軍団”へと成長した。

 それだけではない。学校近くの通称「中京坂」と呼ばれる急勾配の坂での全力疾走もこれまでの5本から15本に増量。同校野球部伝統の「スクワットスイング」も代々20本とされていたが、今のチームになってからは一気に倍の40本にまで増やした。その結果が「打ち負けず、最後まで諦めない」姿勢へとつながった。

 チーム内からは「これだけ筋肉がつけば、相手チームを威圧することもできるから一石二鳥ですよ」との声も上がっているほど。どうしても今大会では夏の甲子園歴代最多7回の優勝を誇る中京大中京(愛知)と混同されがちだが、この名門校に迫る勢いで筋肉軍団・中京学院大中京が一気に頂点を目指す。