【夏の甲子園】星稜・奥川 “田中×マエケン”超ハイブリッド徹底検証

2019年08月16日 16時30分

奥川の投球フォームは前田にそっくりだ

 次代を担うスター候補は誰なのか。第101回全国高校野球選手権大会は、台風10号接近のため15日に予定された第10日の3回戦4試合が中止となり、16日に順延となった。今大会では星稜(石川)の奥川恭伸投手(3年)の存在が突出。17日の3回戦では優勝候補の一角、智弁和歌山(和歌山)と対戦、強力打線との真っ向勝負に期待度MAXだ。その一方、ネット裏に陣取ったプロ球団スカウトたちは今秋ドラフト会議での指名をにらみながら“掘り出し物”のチェックに余念がない。注目選手たちの真の評価を聞いた。

 やはり、星稜のエース・奥川を抜きにして今大会を語れない。高校最速163キロを誇る大船渡(岩手)佐々木朗希(3年)、横浜(神奈川)及川雅貴(3年)、創志学園(岡山)西純矢(3年)とともに「高校ビッグ4」と称され、他の3人が県大会で敗退する中、甲子園出場の切符をつかむとチームを5年ぶりのベスト16へ導いた。

 1回戦(7日)の旭川大高(北北海道)戦では94球、3安打無失点と圧巻の内容で完投勝利。2回戦(13日)の立命館宇治(京都)戦はリリーフ登板で自己最速を更新する154キロをマークするなど、ここまで評判以上のパフォーマンスを見せている。

「大会最注目の投手。直球の球速と質、スライダーのキレ、制球力、フィールディング、そして体力面…。すべての面において完成度が高い。あれだけの制球力で本人も自信があるから、あえて力を抜いたりと投球術にもたけている。しっかり考えて使ってあげれば1年目から十分勝てる投手。マエケン(ドジャース・前田健太)タイプだね。左足の使い方が似てるし、最終的にはああいうタイプの投手になる」と絶賛するのは阪神・畑山俊二チーフスカウトだ。

 一方で楽天の山田潤スカウトは「投球フォームは前田健太だが、スタイルは(前楽天でヤンキースの)田中将大に似ている」と2人の日本人メジャーリーガーの“ハイブリッドタイプ”であることを強調。その理由をこう説明した。

「最も高く評価するのは直球の外角への制球力。投手の基本とされるアウトコースのコントロールが抜群にいい。(試合を通して)直球の球速差も少なく、変化球の精度も全般的にいい。性格もプロ向きで負けん気の強さがある。やられた後に顔つきが変わる。2回続けて彼がやられる姿を見たことがない」

 これまでは今秋ドラフトで大船渡・佐々木が「ナンバーワン候補」と目されていたが、その評価も今大会開幕後は明らかに変化し始めている。

「現時点で(今年のドラフト候補の中で)プロに一番早く適応して結果を残すのは奥川君。間違いなく即戦力です。長くスカウトをやっているが、なかなか巡り合うことのできないような選手」(楽天・山田スカウト)

 奥川には佐々木以上の“プロ順応力”があると評する声は多く、阪神の畑山スカウトも「将来性、ポテンシャルの面ではやっぱり佐々木だが」としながら「体力を含めた完成度では奥川に一日の長がある。佐々木が(県大会で)敗退して一人だけ注目されている中で、きっちりここ(甲子園)に出てきていることは評価できる」と太鼓判を押す。

 すでに佐々木の今秋ドラフト1位指名を球団として公言しているとはいえ、スタンドから視線を送っていた日本ハムの山田正雄スカウト顧問も「将来、日本球界を背負って立つ投手になるという成長曲線が描け、今すぐにプロでも通用するレベルだ。あれだけ一級品のスライダーを投げる投手は今のプロでもそう見当たらない。アウトコースのボールの出し入れができて、右打者のインコースにもきっちり投げ込める。非常に完成度の高い投手」と奥川をべた褒めしている。

 大会終了後、奥川の総合評価が佐々木を上回る可能性も十分ありそうだ。