レジェンドからチームを引き継いだ 智弁和歌山・中谷監督の覚悟

2019年08月10日 11時00分

ウイニングボールを手にする中谷監督

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】大きな意味のある1勝だった。夏の甲子園大会3日目となった8日、第1試合で智弁和歌山(和歌山)が米子東(鳥取)に8―1で勝利。高校野球界のレジェンド・高嶋仁前監督(73)からチームを引き継いだ中谷仁監督(40)にとっては、指揮官として甲子園の夏初勝利となった。

 第一歩。まだまだスタートラインであることは中谷監督自身が最も自覚していることだろう。だが、この一歩が令和の新レジェンドへの幕開けのような気がしてならない。

「夏に照準を絞ってみんなで成長する」。中谷監督はそう公言し、有言実行してきた。昨年、新チームを結成後、9月の和歌山地区予選で南部に敗戦。「県内では勝って当たり前」の重圧を体感し怖さを知った。高校野球関係者の中には「中谷監督は、高嶋先生からチームを引き継いで即、甲子園に出られないと厳しいよ。仮に何年か空白が空いたりしたら中谷さんじゃダメだねという空気になる」と口にする人もいた。

 だが、中谷監督はチームを立て直した。和歌山1位で近畿大会に出場しベスト4。春のセンバツでは2勝しベスト8と着実にチーム力をつけてきた。

 目標は自身が出場した1997年、2000年に果たした全国優勝。「和歌山県の高校野球ファンは目が肥えている人が多いんです。そういう人たちに今年の和歌山代表は智弁か。智弁なら全国で優勝狙えるぞというチームにしたいんです」と、理想の将来像を語っていた。夏の出場を決めた直後、祝福メッセージを送ると「ここからが勝負です」と、もちろん即答だった。

 甲子園常連かつ全国制覇を狙えるチームをつくり続ける。その覚悟で高校球界のレジェンドから後を継いだ。智弁和歌山OBであり同校監督であり、プロでは阪神、楽天、巨人で15年、野村克也、星野仙一、原辰徳監督ら名将のエッセンスを吸収した。「すべてを教えてあげたい」。熱い心と豊富な経験。未来の名将の初めての夏から目が離せない。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。