第101回全国高校野球選手権大会が6日、阪神甲子園球場で開幕。16日間にわたって熱戦が繰り広げられるが、一方で日本高野連が心配材料を抱えている。大会後に「第29回WBSC U―18ベースボールワールドカップ」(30日~9月8日)が韓国・機張(釜山広域市)で開催されることに神経をとがらせているのだ。日本は韓国に対し、貿易輸出の優遇手続きを旧来に戻す「ホワイト国除外」を閣議決定。韓国内で猛烈な日本バッシングが巻き起こっており、日本代表の球児たちに危険が及ぶことも懸念される。“火中”に選手を派遣できるのか…。高野連の竹中雅彦事務局長(64)を直撃した。

 ――韓国では連日のように数千人規模の輸出規制反対のデモが起き、外務省が渡航者に注意を呼びかけている

 竹中事務局長:BFA(アジア野球連盟)を通じて外務省に問い合わせしました。交流のためにはむしろ行ってください、と。日本領事館とか抗議活動をやっているところには近づかないように、ということです。ただ、それはホワイト国除外の前の話ですから随時、問い合わせていかないといけません。

 ――状況を見定める必要がある

 竹中事務局長:粛々と参加に向けて準備を進めるんですけど、状況が変わって「やめろ」というのなら従わないといけない。大事な生徒を預かっていますから危険が及ぶような所には連れて行けないじゃないですか。藤浪(大阪桐蔭、現阪神)と大谷(花巻東、現エンゼルス)がいた7年前の大会(2012年世界選手権)も韓国であったんですけど、あの時も竹島問題が起きていて…。韓国でやる時はタイミングがどうもねえ。

 ――安全が第一であると

 竹中事務局長:日本の将来の宝ですから。多少のことは…というふうにはならない。

 ――ファンから心配する声は

 竹中事務局長:まだないですね。ただ報道を見ると(反日運動が)激しいですよね。それに釜山の市長が(除外反対の)声明を出されていることもある。

 ――日韓の政治摩擦がスポーツ界にも及びつつある

 竹中事務局長:政治的なものとスポーツは切り離してもらいたい。子供たちには関係ないと思うんです。巻き込んでほしくないですよ。ただ世界水泳もこんなさなかに韓国であったばかりだし、注意深く見てましたけど、何も(トラブルは)耳に入っていません。状況は変わってくるかもしれない。

 ――選手に注意を呼びかけるとしたら

 竹中事務局長:行動面ですね。日の丸を誇張するようなもの、シャツは気をつけるとか、こういう時だから自覚を持った行動をしないとね。コンビニに行くのも誰かが引率し、選手同士では行かないようにとかね。

 ――では、現段階では日本の参加は流動的

 竹中事務局長:問い合わせをして、行っていいよ、となれば。大会そのものは行われるわけだし、日韓の問題ですから。

 ――ボイコットの可能性も…

 竹中事務局長:韓国も気にしているんじゃないですか。日本が来なくなると余計問題になりますからね。

 ――来年の東京五輪にも影響しかねない

 竹中事務局長:そうですそうです。ただ向こう(韓国側)の考えること。こちらとしたら生徒に危険が及ぶようなら取りやめることもあるし、外務省の判断に従います。