あるぞ聖地での初スチール! 7年ぶり2回目の甲子園出場を決めた宇部鴻城(山口)。このチームの不思議の1つは、盗塁「0」で勝ち上がってきたことだ。

 ノーシードでチームを聖地に導いた尾崎監督は県大会を振り返り「実はずっと気にしてたんですよ…。それで(県大会の)準決勝前に選手に『お前ら、ゼロはええ加減やばいぞ!』と言うたんですよ。まあ、結局は0でしたけどね」と笑った。

 6試合を戦って49代表校唯一の盗塁数0。一方で犠打の数は14で、小技を絡めて得点機を堅実に演出してきた。そんなチームカラーもあるだけに「足のある選手はいっぱいおるんですよ。できるんですけど、この夏はたまたま…(笑い)」と首をかしげる。

 それだけに初戦(7日目・第1試合)の相手・宇和島東(愛媛)にとっては不気味な存在といえる。試合序盤や、ここぞの場面で“初スチール”を繰り出せば、相手の動揺を誘うのは間違いない。情報戦とばかりに尾崎監督は「使えるなとは思ってます」。そう言うとすぐに「うちは盗塁はないですよ」と不敵に笑うと、聖地でのタクトに腕をぶした。

 対戦相手決定から一夜明けた4日、兵庫県内で調整を行った宇部鴻城は、指揮官自らランニングメニューに加わり汗を流した。「盗塁0」でも警戒を怠るわけにはいかない。宇部鴻城の足攻めに注目だ。