大船渡・佐々木U-18侍まさかの不要論 高野連内で招集見送るべきの声

2019年08月03日 11時00分

U―18での“不要論”が飛び出している佐々木

 韓国・機張で開催される「第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(30日開幕)の高校日本代表の選考をめぐり「令和の怪物」こと佐々木朗希投手(大船渡=3年)の招集を「見送るべきでは」との声が高野連内で上がっていることが分かった。岩手大会決勝で登板せずに敗退した佐々木については、投手の酷使問題の観点から国保監督の采配を“英断”として支持する世論が多数。実力的にはジャパンのエースを担える逸材だけに、選考委員会としては難しい判断を迫られることになった。

 岩手大会決勝で登板回避の末に敗退した佐々木について、過去に日本代表で指導経験のある現役高校監督の一人は「佐々木君が高校生歴代最速の163キロを計測したのは、4月に行われた代表合宿でのこと。奥川(星稜=3年)君ら世代トップクラスの選手を前に力が入り過ぎる傾向があり、ましてや世界大会の舞台とあってはこちらの想定以上の出力をしてしまいかねない」と指摘。

 続けて「いずれは侍のトップチームで投げる逸材で、高校時点で過度な負荷を強いることはできないですし、他校の選手を預かる身としては仮に何かあっては責任が取れない。決勝での登板回避が英断とされる風潮の中で、無理な起用はさせられないでしょうね」と現場の立場から扱いの難しさを口にした。

 将来的に球界を背負って立つ“金の卵”だけに、目先の勝利以上に佐々木の身を案じねばならず、実戦的な起用が難しいというのが本音だ。

 悲願の世界一を目標とする高野連の内部でも、佐々木の招集前提の選考には疑問を投げかける声が多く上がっている。

 ある高野連関係者は「優勝がかかった大一番で出場できない可能性のある選手を連れていく意味があるのか。自国開催で世界一が至上命令だった4年前にも、全力疾走もままならず、まともな戦力にならない状態の高橋純平(現ソフトバンク)や、当時まだ1年生で実力に乏しかった清宮(現日本ハム)を話題先行で選んで、あと一歩で涙をのんだ過去がある」と語気を強める。

 さらに「大谷(現エンゼルス)のときも球は速かったが投手としては未完成で、主戦を担ったのは藤浪(現阪神)。今年は奥川や西(創志学園=3年)ら他にも優れた投手が多いし、本気で世界一を狙いにいくのに余計な忖度はいらない」と勝負の観点からも“佐々木不要論”を唱えた。

 一方、大船渡サイドからも佐々木の選出には慎重な意見が出ている。あるOBは「そもそも国保監督がすんなりと佐々木を出すのか。代表監督の永田さん(報徳学園)は昨年、甲子園で登板過多だった吉田輝星(現日本ハム)を大事な韓国戦、台湾戦で先発起用。疲れの抜けていなかった吉田は案の定打ち込まれ、アジア大会で3位という屈辱的な結果に終わった」と話すとこう懸念を寄せた。

「ここ一番ではエースと心中というタイプの永田監督は、これまで過保護とも取れるほど慎重な起用を続けてきた国保監督とはある意味、真逆。短期決戦なので各選手の状態を見て、たとえば抑えとして決勝で1イニング限定など、柔軟な采配をしてもらえるといいのですが…。学校側から辞退を申し出る可能性も十分ある」

 佐々木自身は岩手大会敗退後に「選ばれる可能性があるのであれば、頑張りたいです」とU-18への意気込みを語っていた。目先の世界一か、球界の宝の未来か。選考委員会の判断に注目が集まっている。

【最近の高校日本代表が挑んだ世界大会】

 2012年…日大三・小倉監督のもと、大谷(花巻東)、浜田(愛工大名電)、藤浪(大阪桐蔭)らの投手陣で臨んだが、米国のラフプレーで2年生捕手の森(大阪桐蔭)が吹き飛ばされるなど苦戦を強いられ、6位に終わる。主なメンバーに北條、田村(ともに光星学院)ら。大谷の登板は2試合で、初戦のカナダ戦に先発し3回1/3を3失点、最終戦の韓国との5、6位決定戦は7回2失点で負け投手に。主に外野手として出場した。韓国開催。

 2013年…大阪桐蔭・西谷監督が率いた。投手陣は松井裕(桐光学園)、山岡(瀬戸内)、田口(広島新庄)、高橋光(前橋育英)、安楽(済美)ら。決勝で米国に敗れる。ほかには森(大阪桐蔭)、上林(仙台育英)、渡辺諒(東海大甲府)らが出場。台湾開催。

 2015年…引き続き大阪桐蔭・西谷監督。1年生の清宮(早実)を抜てき。佐藤世(仙台育英)、成田(秋田商)、上野(中京大中京)、高橋純(県岐阜商)、森下(大分商)らの投手陣、勝俣(東海大菅生)、オコエ(関東第一)、平沢(仙台育英)らを中心とした打線で臨んだが、またしても決勝で米国に敗れる。夏の県大会前に左太もも裏の肉離れを発症した高橋純は、当大会では3試合のリリーフ登板にとどまり、4回を投げて無失点だった。日本開催。

 2017年…元拓大紅陵・小枝監督。清宮(早実)が主将を務め、投手は田浦、川端(ともに秀岳館)、清水(花咲徳栄)、三浦(福岡大大濠)ら。野手では中村奨(広陵)、安田(履正社)、増田(横浜)に加え、2年生コンビの小園(報徳学園)、藤原(大阪桐蔭)も名を連ねたが、決勝に進めず、3位に終わる。カナダ開催。