「令和の怪物」こと高校最速163キロ右腕、佐々木朗希投手(3年=大船渡)が18日、岩手大会3回戦・一戸戦(花巻)に先発登板。6回参考記録ながらノーヒットノーランを達成し、チームを10―0の6回コールド勝ちに導いた。この日は93球を投じ、13奪三振で最速は155キロだった。ネット裏には日米13球団のスカウトが集結したが、ここにきてメジャーの動きが何やらキナくさくなってきている。

 この日は直球狙いの相手に直球で空振りを奪う王者の投球。実に6回18アウトのうち、13個のアウトが三振だった。一戸打線を圧倒した佐々木は「コントロールが安定していたので、少しギアを上げました。ストレートで空振りが取れていたので、それが三振が増えた理由かなと思う」と冷静にこの日の投球を振り返った。

 次戦20日の第2シード・盛岡四戦(岩手県営)からは5日で4勝が必要な超過密日程に突入する。それでも2戦計8回を無安打無失点、15奪三振の背番号1は「あと4勝なので一戦一戦気を抜かないで、これからどんどん強い相手が待っているので全員で勝ちにいきたい」と強豪私学を倒し、大船渡から甲子園出場へ、という進学時に誓った気概を改めて示した。

 一方で、そんな佐々木を取り巻く状況は、水面下で目まぐるしい攻防を繰り広げている。すでに佐々木本人が「プロ一本宣言」をし、6月2日の段階で日本ハムが12球団最速となる「ドラフト1位指名宣言」をしている状況下とあって、佐々木の進路はNPB入りで一本化されているようにも見える。

 しかし、この日の3回戦には国内10球団24人のスカウト、編成担当者に加えフィリーズ、ダイヤモンドバックス、レンジャーズのメジャー3球団のスカウトがネット裏から佐々木をチェックした。6月中旬のMLBドラフト以後、パッタリ途絶えていたメジャーの「佐々木詣で」が再開された格好だ。

 つい先日には一部週刊誌で、細野敦弁護士が佐々木の代理人に就任したという報道があったばかり。佐々木の登板した16、18日の花巻球場には米大物代理人スコット・ボラス氏の事務所関係者をはじめ、複数の代理人事務所関係者の姿がスタンドにあり、応援席にいた佐々木の母・陽子さんの動向をうかがっていた。

 あるNPB球団の関係者は「具体的にはまだ見えてこないけれども、メジャーが再び動き始めているのは確実。それが代理人事務所が特定球団と組んで佐々木をメジャーに持って行こうとしているのか、メジャースカウトがその立場を利用して佐々木の代理人の座に就こうとしているのか…。いずれにしても彼らは何かの情報に基づいて動いているように見える」と新たな米国側のキナくさい動きを警戒している。

 また別のNPB関係者は「もし国内一本が秋までに覆るとしたら(国保)監督側のルートしか可能性はないでしょう。代理人を含め、メジャー側のアクセスポイントは監督本人または監督に通じる人脈に限られてくるんじゃないですか」と“逆転の秘策”につながるメジャー側の起点を推察していた。

 急転、NPB入りを拒否して渡米というシナリオが出てくるのか。メジャー球団の動向が注目されている。