【センバツ】3回途中で5失点KO横浜・及川と17奪三振の星稜・奥川が明暗

2019年03月25日 16時30分

履正社打線を圧倒した奥川(右)といいところなく甲子園を去った及川

【ズームアップ甲子園】第91回選抜高校野球大会は24日、1回戦3試合が行われ、第2試合で大会屈指の左腕・及川雅貴投手(横浜=3年)が登場。しかし、制球が定まらず自慢の速球が鳴りを潜めるなど、明豊(大分)打線に3回途中5失点でKOされ、姿を消した。前日に17奪三振で完封勝利を収めた、今大会のもう一人の主役・奥川恭伸投手(星稜=3年)と明暗を分ける格好となったが、この結果をネット裏のスカウト陣はどう見たのか。

 及川は最速153キロを誇り、キレのあるスライダーを操るサウスポー。この日は日米のプロスカウトが前のめりに視察したが、結果と内容は期待を大きく裏切った。
「球自体は悪くなかったが、試合の中で波が出てしまうもろさを改善できなかった」。この日の投球は本人の反省の弁に集約される。味方が2回までに4点を先取した直後の3回、先頭から連続四球。守りのミスもあったが、一気に崩れ5点を失いイニング途中で降板となった。この日の最速は146キロで、横浜・平田監督が指摘した「四球を恐れてボールを置きにいく」悪い癖も顔を出した。

 前日に星稜の奥川が優勝候補の履正社相手に、最速152キロをマークして17奪三振、3安打完封の快投を見せた。「左の及川、右の奥川」は今大会の“顔”ともいえる存在だっただけに、及川の乱調は明暗を分ける形となった。

 そんな2人の現時点での評価はどう変わったのか。圧巻の投球を披露した奥川には「スライダーの質が上がっている。フォークと真っすぐもそうだが、どの球種も“メシを食える”ボール。何より体が強くて故障しにくい。高卒1年目からローテーションを回れる力があるんじゃないかな」(広島・苑田スカウト統括部長)などと、右腕の順調な成長に各球団スカウトもホクホク顔だった。

 一方の及川については、かつてU―15日本代表のエースとして名をはせ、潜在能力は証明済みとあって「いい時の彼を見ているからね。評価はまだまだ先。今後も注目して見ていく」(DeNA・吉田スカウト部長)との声も出たが、この日の登板を見て大きく評価を下げた球団もあった。

 ある球団のスカウトは「非常に残念な結果だった。体調不良や寒さの影響で血行障害を疑ってしまうほどの内容。いい時の真っすぐの割合も、今日は30球に1球の割合。成長曲線が下降線をたどっていると言わざるを得ない」と渋い顔。さらに、メジャースカウトは「U―15の時から見ているが、当時が一番よかった。今は腕が背中側に入りすぎて、どんどん悪くなっている。あれではコントロールが定まらない。真っすぐとスライダーしか投げられなければ狙い打たれてしまう」と、技術的な問題点を明確に挙げてバッサリだった。

 及川を預かる平田監督も手厳しかった。「高校生の間に勝てる投手に育てたいが、なかなか壁を越えられない。自信がないのか、トラウマみたいなものがフラッシュバックしてしまう。もう少しふてぶてしく投げてくれればいいんですが、メンタル面が…」と精神面の強化を課題に挙げ、逸材の育成に頭を悩ませた。

 昨秋の関東大会2回戦コールド負けの8強止まりながら「決め手は大会屈指の好投手・及川」(選考委員)という滑り込み選出で甲子園にやってきただけに「選んでもらったのに期待に応える投球ができなかった」と声を落とした横浜のエース。屈辱を味わった左腕は、最後の夏に主役に返り咲けるか。