「令和の怪物」こと163キロ右腕、大船渡・佐々木朗希投手(3年)が30日、秋田県内で行われた由利との練習試合に登板した。3回打者14人に51球を投げ3安打無失点、毎回の6奪三振で最速は153キロだった。ネット裏には国内8球団21人のスカウトらが集結した。

 立ち上がり、直球の制球が定まらず1安打1四球で一死一、二塁のピンチを背負ったが、ここで相手クリーンアップをチェンジアップで連続空振り三振。2回、3回も要所でチェンジアップが冴え、6奪三振中、4つがこの球種。残りはスライダー、直球で奪った三振だった。

 佐々木は「変化球を含め今日はすごく制球がよかった。制球だったり配球だったりをどんどん作っていって夏の大会に向かいたい。(岩手で)6回勝たなきゃ甲子園には行けないので、チームとしても自分としてもできることをやって甲子園に行きたい」と7月15日に初戦を迎える岩手県大会に向けての意気込みを語った。

 だが、現実的に佐々木を甲子園で見ることは難しいかもしれない。というのも「佐々木朗希に頼らないチームづくりを目指している」と話している国保監督が、佐々木の連投には否定的だからで、15日の後のスケジュールは17日2回戦、20日3回戦、21日準々決勝、23日準決勝、そして24日が決勝。20日、21日はともかく、準決勝、決勝は佐々木の連投なしでは厳しい戦いが予想される。

 佐々木はまだまだ発展途上の将来を嘱望される大器。故障のリスクを避ける判断は指導者としては「あり」だろう。とはいえ、仲間とともに挑む高校生活最後の夏を、すべての力を出し切れずに敗れたのでは悔いが残る。難しい決断となりそうだ。