借金1で3位(23日現在)と一進一退が続く阪神・金本知憲監督(50)が虎の「あしき伝統」に頭を痛めている。

 宿敵・巨人に喫した本拠地・甲子園3連敗から一夜明けた23日は先発投手だけの調整から異例の全体練習に変更。ナインに普段の倍近い打撃練習をさせた指揮官は「何かきっかけとなるよう各自がやっていこうということ」と理由を明かしたが、悩ましいのが連綿と続いている虎の“ビョーキ”だ。

「選手が(負けて)悔しいと思っているかどうかとか、淡々と流れに任せるとか。ここ(阪神)はそういう空気感が長年、伝統的にある。大変な球団。シーズンも長いし、どこのチームにもあるかもしれないけど、オレはそれが当たり前になるのがイヤなんだ」とこぼした上で「まだ借金1なのに借金が5、6もある雰囲気になってしまう」と本音を漏らした。

 覇気や執念が足りないのはダメ虎時代からよく言われてきたことだが、この鉄人の嘆きにはフロント内部からも「確かに監督が就任して一番改善したかったことがまだできないのは相当つらい。やられたらやり返す、転んだらまたすぐに起きようとしないところがもどかしい」と同情する声も噴出。チームの今後を案じている。

 また、目指していたはずの機動力野球も完全に頓挫。いまだチームの盗塁数は12球団ワーストの1個という惨状で、これにも指揮官は「足が使える選手が塁に出ない。出ても相手投手のクイックがあったり、その機会がない。仕方ない」と現時点では白旗だ。

 それでも何とか選手を鼓舞させようと必死でいる。この日、本塁打が出ない状態が続く主砲・ロサリオと2人だけで会談。助っ人は「(監督には)いつも自信がつくような言葉をいただいている。声を掛けてもらってありがたい」と感謝していたが…。ナインが指揮官の思いに応える場面を、早く見たいところだ。