巨人・岡本和真内野手(21)が22日の阪神戦(甲子園)で4号3ランを含む猛打賞、4打点の大暴れ。チームも10―1で圧勝し、敵地で今季2度目の3連勝を飾った。若き大砲はここまでチーム単独トップの4本塁打、18打点を叩き出すなど、いよいよ覚醒した感があるが、具体的にはどう進化したのか。チーム内から飛び出した“証言”とは――。

 強烈な一撃に、甲子園のスタンドが静まり返った。4―1とリードした5回無死二、三塁で迎えた岡本の第3打席。相手先発・高橋遥の142キロ直球を力強く振り抜くと、打球は高々と舞い上がり、逆風を切り裂きながらバックスクリーンの防球ネット部分に突き刺さった。これで金本監督が大きな期待を寄せる新人左腕はKO。7試合ぶりに飛び出した一発に巨人ベンチのムードも最高潮に達し、先発野手全員となる16安打の猛攻で阪神を圧倒。屈辱の3タテを食らわせた。

 智弁学園高時代に通算73本塁打を放ち、甲子園を沸かせた岡本だが、プロ入り後初となった“聖地1号”には「まさか入るとは思わなかったけど、良かったです。どこ(の球場)でもホームランはうれしいです」。由伸監督も「走者をためたところでの一発は本当に大きかった。その前のタイムリーも勝負強さが出て非常に良かったと思います。レギュラーっぽく見えてきた」と最大級の賛辞を贈った。

 今季の岡本は阿部との一塁争いを制して開幕を6番で迎えた。ここからコンスタントに結果を残し、12日のDeNA戦(東京ドーム)からは打順が5番に上がり、今やクリーンアップに定着しつつある。4発、18打点はチームでも独走状態だ。

 昨季のちょうど今ごろはすでにスタメンから外れ、長い二軍暮らしに突入していた。岡本の成長ぶりはひと言では語れないが、特に本人が実感しているのが「スイングスピードが速くなったこと」だ。では、実際にどれだけスピードアップしたのか。巨人が導入している高性能弾道測定器「トラックマン」のデータからも進化の跡が見てとれる。

 球団の方針で具体的な数値は明かされないものの、スタッフによると「スイングスピードが打撃のすべてではないですが、もちろん遅いよりは速い方がいい。数値が上がっていることは確かです。もともと岡本のスイングスピードは速い方でしたが、今ではチームのレギュラー陣の中でもトップクラス。昨季本塁打王となったゲレーロの数値に匹敵するほどです」という。

 昨秋のキャンプから徹底的にバットを振り込み、現在でも試合後は他のヤングGたちとブルペンでの素振りを欠かさない。そうした努力の結晶が“ゲレーロ級”の長打力につながっている。

 他チームとの対戦も2巡目に入り、マークはますます厳しくなる。それでも岡本は「あんまり考えていない。失投は絶対に来ると思っているので、一発で打ち返せるようにしたい」と動じない。どこまでアーチを量産できるのか、背番号25の今後からますます目が離せなくなってきた。