歯車がかみ合わない。巨人は11日のDeNA戦(東京ドーム)に3―6で連夜の逆転負け。5連敗で6年ぶりの単独最下位に転落した。1点リードを守れず5連打4失点と炎上した4番手・澤村拓一投手(30)は誤算だったが、その陰ではナインとベンチの意思疎通に疑問を抱かせる場面も…。昨季の悪夢を思い起こさせる流れに、試合後は高橋由伸監督(43)の猛ゲキが飛んだ。

 暗転したのは、またも8回だった。前夜と異なっていたのは、打たれたのが上原ではなかったこと。初戦同様に先制を許しながらも打線が6回に逆転に成功すると、1点リードでベンチは澤村にマウンドを託した。

 右腕は大和、筒香を打ち取り、あっさり二死。ところがロペスの中前打から、火の手は一気に広がった。5連打で瞬く間に4失点。攻撃陣は9回二死満塁と追い詰める意地を見せたが、反撃もここまでだった。

 普段は強気の村田ヘッド兼バッテリーコーチも思わず「こたえる負け方やな。8、9回にひっくり返されるのが一番きつい」とうめく痛い黒星。5連敗で2012年4月25日以来の単独最下位となった。乱調の澤村について由伸監督は「(打たれたのは)ツーアウトからなのでもったいないですけど、勝ちパターンの投手なので頑張ってもらうしかない」と今後の奮起に期待。試合後のミーティングでは「負けは込んでいるけれど、下を向く必要は全くない」とナインに活を入れた。

 ただチームの外からは「選手ばかりに責任は押し付けられません。ベンチの指示は正しかったのか、しっかり振り返るべき」との声も上がった。試合を観戦したOBが問題視したのは二死一、三塁で、澤村が乙坂に右中間に逆転の2点適時二塁打を許した場面の外野シフトだ。

 同OBは「巨人ベンチは一度深く下がった外野陣を前に出し、あえて定位置に就かせました。あの場面で、一番やってはいけないのは逆転の走者をかえすこと。当初の位置であれば右翼の亀井なら楽々と捕球できたはずです。外野陣は指示に疑問を抱いたのではないか。これは基本論であって、結果論ではありません」とバッサリ断じた。
 一方、大西外野守備走塁コーチは「あそこは投手(澤村)と打者(乙坂)の勝負の場面。そう考えて定位置を指示した。普通の打球はもちろん、打ち取った当たりで三塁走者をかえしたくなかった」と説明した。ただしセオリーを排するのであれば、その意図がしっかり選手に伝わっていたのか、確認は必要だろう。

 主将の坂本は「やっているのは選手ですから、打破するのも選手。負けていると暗くなりがちですが、明るく、前向きにやっていかないといけない」と気丈に話したが…。苦境脱出に必要なのはチームの団結。隙間風は吹かせてはならない。