【私だけが知る 大谷の凄さと秘密】「空振り三振に終わったあの打席は今でもはっきりと覚えている。完全に直球だと思ってバットを出したらスプリットだったんだからね」

 オリックスのロメロに大谷の話を聞くと、興奮気味にこう語り始めた。

 衝撃を受けた打席は昨年7月の日本ハム戦。先発大谷と初対戦した際「腕の振り」による球種の見極めが不可能だったという。

「スプリットの落差も凄いが、一番驚いたのは腕の振りが球種によって変わらないことだ。通常どんな投手でも直球とスプリットでは腕の振りが微妙に異なる。でも、彼はまったく同じ腕の振りで直球とスプリットを投げ分ける。しかも、そのスプリットが直球並みに速く、90マイル(約145キロ)近くはあるから、ギリギリまで直球かスプリットか見分けがつかない。必然的に打席内では直球狙いでタイミングを早めに取る。そんな時にスプリットが来ると、体が先に突っ込み、結果、空振りか見送るしかないんだ」

 ロメロは3シーズンでメジャー通算94試合に出場。マイナー(3A)では2016年に106試合の出場で打率3割以上を記録した実績もあるだけに「彼はもはやマイナーレベルじゃない。すでにメジャーで戦うレベル。間違いない」。

 では打者として投手・大谷への対応策はあるのか。

「直球だけなら100マイル(161キロ)でもメジャーの強打者なら対応できる。ムービングしない直球だから自分でも対応は可能だ。ただ、そこに落差のあるスプリットと鋭く曲がるスライダーが加わる。おそらくメジャーの打者は当面、直球一本に絞り、追い込まれる前に打つしかないだろう。追い込まれてからの対応は…本当に難しいからね」