【アリゾナ州テンピ20日(日本時間21日)発】エンゼルス・大谷翔平投手(23)が当地で行われたダイヤモンドバックス戦に「8番・DH」でスタメン出場。6回の第3打席で左腕・ポーシュのスライダーを中前に運び、11日(同12日)のレンジャーズ戦以来、4試合、16打席ぶりの安打をマークした。この日は4打数1安打で打率は1割7厘(28打数3安打)となった。

 長いトンネルにいた大谷が待望の一打を放った。昨年15勝左腕・レイの前に2打席連続二ゴロに打ち取られ15打席連続無安打で迎えた6回一死の第3打席。この日、3打席目となる左投手対決で、昨年1Aのマイナー左腕・ポーシュの外角スライダーの落ち際を捉え、詰まりながらも中前に落とした。

 11日のレ軍戦、第1打席で右前打を放って以来、実に4試合、16打席ぶりの安打に本人を含めソーシア監督ら周囲も胸をなで下ろした。指揮官は「あの打席ではじっくりボールを見ていたし、ヒットも打った。いいスイングをしていた。このまま前進していってほしい」と紅白戦形式の打撃練習も含め、ここ数日で集中的に対戦させた“左投手対策”が形になったことを喜んだ。

 本来、身分保障のないマイナー招待選手という立場でありながら打者として打率1割7厘、投手としても4試合(8回1/3)で17失点という成績は現時点で間違いなくマイナー通告を受けるカット対象選手。しかし、即戦力としてメジャー27球団が大争奪戦を展開した超プロスペクトを開幕メジャーデビューさせられなければエンゼルス球団としてのメンツも丸潰れだ。

 大谷がアリゾナでの最終登板を迎える24日のキャンプ最終日を前に日々、空のロッカーが増えていく状況下で大谷のアナハイム行きはすでに確定。球団も大谷の開幕25人枠入りを前提に本拠地での日本人メディアの席割りを始めるなど、全てがオートマチックに動いている。結果を出していないルーキーが開幕メジャーに昇格する…。本来の“米国の文脈”ではおかしい現象に少しでも説得力を持たせるためには、残り少ない出場試合の中で結果を出していくしかない。