【アリゾナ州ピオリア11日(日本時間12日)発】マリナーズのイチロー外野手(44)はレッズ戦で今季のオープン戦に初出場した。1番・左翼でスタメンに名を連ね、3打数無安打、2三振で5回の守備からベンチに退いた。

 初回の第1打席。6年ぶりのマリナーズ復帰を喜ぶファンから温かく迎えられ、「イッ・チ・ロー」の大声援を送られた。「米国の文化に“粋”というものがあまりないですけど、こういうのはそうですよね。それを選手側が感じないなんてありえない。人の思いに応えたいという気持ちがねえ」。一昨年に10勝を挙げている左腕フィネガンにフルカウントから見逃し三振だったが、ファンの思いは伝わっていた。

 第2打席の相手は2番手の左腕クロケットの速球を左方向へライナーではじき返した。結果は左直だったが、安打になっても不思議ではない打球だった。4回の第3打席では右投手に空振り三振を喫したが、何も結果だけを求めていたわけではない。「このユニホーム着られてねえ。練習で着てなかったので今日初めてですよね。やっぱり、いろんなことを経験して、またここに戻ってきたことは感慨深いです」。プレーヤーとして第一歩を踏み出せたことに価値を感じていた。

 実際に手応えもつかんでいるようだ。「今日でグッと上がったはずですから。感触がね。練習をいくら重ねてもそれは限界があるので今日で感触的には次元が全然違う。昨日までとはね」。12日(同13日)のナイターにも出場予定。イチローは開幕に向けて、着々と準備を進めている。