菅野新人離れ投球術の手本はあの男

2013年02月05日 16時00分

阿部(右)と話し込む菅野

 巨人のドラフト1位ルーキー・菅野智之投手(23=東海大)が「超野村」を目指す。3日、宮崎キャンプのブルペンで初めて阿部慎之助捕手(33)を相手に76球の投球練習。低めに制球されたピッチングに周囲から絶賛の声が上がった。この新人離れした投球を生み出す原動力となっているのは一体何か――。菅野の胸中には「絶対に超えたい」と願う昨季セ・リーグ新人王投手の存在があるという。

 

 

 絶賛の嵐だった。安定感のあるゆったりとした動きから力のあるボールを投げる菅野には、新人というよりもすでに主力級投手の風格すら漂っていた。菅野の相手を務めた阿部は「思ったよりも(制球が)バラけずにまとまっている。投げっぷりがよかったね。軸になる投手になってもらいたい」。じっくりと見つめていた川口投手総合コーチも「高めに浮く球が一つもなかった。普通にやれば15勝はいくよ。勝ち頭になれる」と太鼓判を押した。

 

 この日は直球でMAX157キロをたたき出した球速だけでなく、低めへの制球力が光った。「いろんな野球を見てきて、低めに集めて投げるのが大事だと思った」とは投球後の菅野の弁。チームの大先輩・内海とソフトバンク・摂津の両投手の名を挙げながら「びっくりするほど速い球を投げるわけではないが“何で勝てるんだろう”と考えた結果、低めへのコントロールだと思いました」とも語った。

 

 大学時代は「剛腕」のイメージが強かったが「自分はスピードよりもコントロール。球速は意識しない」と常々語ってきたこともあり、キャンプではどちらかというと力強さよりもクレバーな投球スタイルのほうが際立っている。

 

 そんな菅野にはチーム内から「今は変化球より直球を思い切り投げることに専念したほうがいい。基本は力のある直球が四隅に投げられるかどうかだから」という声も聞こえてくる。しかしドラ1ルーキーは、こうした指摘を耳にしても“柳に風”で受け入れるつもりはない。制球力を追求することこそ自分の極意と確信しているからだ。実は、こうした菅野の考えに昨季リーグ新人王の広島・野村祐輔投手(23)の存在があることはほとんど知られていない。

 

「菅野も当初は直球へのこだわりを持っていた。ところが浪人時代に同年代の藤岡(ロッテ)と野村の違いに衝撃を受けたのです。左腕でありながら最速150キロ以上を投げてアマ時代に無敵だった藤岡がプロでたびたび打ち込まれ、直球の平均球速140キロ強の野村がプロで防御率1点台をマーク。この2人の対照的な姿に菅野が得た結論が『プロで活躍するには球速より制球力』だったのです。これで球速へのこだわりがなくなった。彼にとって同年代の野村はお手本でもあり、ライバルとして超えたい存在なんです」

 

 菅野は「目標にしたい投手はいない」と公言しているが、ひそかに目指しているのは同年代でプロの世界では1年先輩の“野村超え”。つまり“超野村”だ。この日のブルペンを見る限り、その姿勢にブレはない。