【巨人・高橋由伸監督インタビュー:後編】巨人・高橋由伸監督(42)の本音に迫ったインタビュー後編は「契約最終年の覚悟」。過渡期のチーム再建を託される一方で、自身は今季が3年契約の3年目。球団からは若返りを求められるなか、常勝の宿命とどう両立させていくのか。難しいテーマと向き合う指揮官の心中とは――。

 ――チームを率いて3年目。自分なりの監督像は見えてきたか

 由伸監督:どうなんだろう。与えられた使命、やらなくちゃいけないことは分かりきっていることですからね。監督として大事なのは、まず勝つこと。そして状況を踏まえてしっかりとしたチームをつくること。勝ちながらチーム状況を好転させていくのが一番の理想で、それを目指すという以外ない。その理想に合わない監督像なんて必要ないんじゃないかな。毎年選手も少しずつ変わるわけで:決まった監督像なんかに固執する必要はないと思っていますよ。

 ――最近はあえて選手と距離を取っている

 由伸監督:最初のころは僕自身もそうだし、周りもよく分からない状況からスタートしましたからね。お互いに多少は気を使っていた面もあっただろうし。だんだんに時間がたてば、監督と選手だし、なんとなくそれなりの形になっていくもんですよ。でも、あえて距離を取ろうとかは意識はしていないな。結局どっちが正しいかなんて、いまだに分からないから。

 ――やはり勝利と育成の両立は難しい

 由伸監督:難しいと思いますよ。でも勝つというのは、誰が監督をやっても、来年も再来年もそこは絶対に求めなくちゃいけないこと。だいたい「勝たなくていいから」って言う人は誰もいないでしょ? 勝たなくてもいいから若い選手を使ってくれ、って言われたら、そりゃあ楽ですよ。

 ――契約最終年に難しいテーマと向き合う

 由伸監督:契約はまあ、僕個人の話だからいいんですよ。別に僕が辞めたって、ジャイアンツがなくなるわけじゃないからね。でもね、そういうふうに自分の立場を考えている人が監督をやっちゃダメでしょ。

 ――監督のバトンをつなぐ役目も意識にある

 由伸監督:それは当然、あるよね。勝たなくちゃいけないけど、それだけじゃない部分というのも常に頭に置いてやっているつもりですよ。

 ――ちなみに「喜怒哀楽が見えない」との声がいまだあることには…

 由伸監督:ハハハ、それねえ。あえて出さなかったわけでもないし、出そうともしていないし。僕は思うようにやっているだけ。むしろ、自然にやっているんだけどなあ。評価してくれる人も僕の周りにはたくさんいますしね。あの松井さんだって「一喜一憂する必要はない。常に結果を受け止めて前に進め」って宮崎で訓示して帰っていったでしょ(笑い)。

 ――最後に東スポ読者へ今季の意気込みを

 由伸監督:まずは勝つことですよね。そして勝つことと同じくらい、いい選手を見たいという人もいると思うから、そこにも応えなくちゃいけない。勝つ中で魅力のある選手を育てたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。