日本ハムのドラフト1位・清宮幸太郎内野手(18=早実)が22日の練習中に体調不良を訴え、名護市内の病院で「急性胃腸炎」と診断された。前日には本格的な打撃練習を再開したばかり。まさかのアクシデントにキャンプ地は騒然となったが、新人時代に自身も同じ経験をしたという斎藤佑樹投手(29)が、今だからこそ語れる当時の真相を明かした。

 清宮はこの日午前8時に宿舎を出発すると、午前10時前から二軍キャンプ地・かいぎんスタジアム国頭で練習を開始した。フリー打撃では51スイングで柵越え12本、うち5本を場外に運ぶなど打棒は上々。同組で行った中田が42スイング中、柵越え7本で場外弾はなかったことからも、その好調ぶりは明らかだった。

 しかし、その一方では朝からおなかをさするしぐさを繰り返していた。そんな中で受けたシートノックでは、打球が下腹部を直撃。これがダメ押しとなったのか、金子コーチに症状を告げるとベンチ裏に引き揚げた。

 その後はタクシーで午後2時過ぎに名護市内の病院へ。「急性胃腸炎」と診断され、点滴などの治療を受けて静養した。23日以降の練習、試合参加は回復状態を見ながら決定するという。

 そんな清宮を心配したのが、早実の先輩でもある斎藤だ。自身も新人時代の初キャンプで腹痛を訴え、実戦登板を回避した苦い経験を持つ。原因については「完全にストレスですね。マスコミへのストレスですよ。意外? そんなことないですよ。だって(マスコミの取材が)普通じゃなかったんですから」と打ち明けた。

 当時は“ハンカチ王子フィーバー”の真っただ中。今でこそ、笑いながら振り返れるが、負担は相当だったはず。「もう(清宮を追い掛けるのは)やめてあげてくださいよ(笑い)」と、後輩を思いやった。

 斎藤はもともと、試合以外での緊張感などからおなかを壊すことはたびたびあったという。「(解決方法は)今でも分からないですよ。I don’t know」と最初は冗談めかして笑ったが、すぐさま「慣れていくしかないと思います」とポツリ。

 清宮が患った急性胃腸炎はハッキリとした原因が特定しにくいとはいえ、斎藤同様に度重なる過剰なストレスが腹痛を引き起こしたことも十分に考えられる。

 キャンプ地には連日多くのファンが応援に駆けつけている。だが、斎藤は「もちろんファンの方がたくさん来てくれることはモチベーションにつながるし、ありがたいこと。でもそれは高校の時では絶対にないことで、唯一そこが高校野球と違うところだと思います」とも。

 そして「もちろん幸太郎の場合はどうかは分からないですけどね」と断りつつも「僕は入団した時に“プロと大学の違いはここだな”って(感じた)。応援してくれるファンの量が単純に多くなったからで」と分析。最後に「清宮がプレッシャーをこの先も感じることはあるのか」と質問をぶつけると、斎藤はやや口調を強めながら、最後にこう言った。

「もちろんあるでしょうが、プロに入った以上は乗り越えていくしかない。彼にとっては試練? そうかもしれませんね。どんな形でも結果を残したもん勝ちですから」。清宮だけでなく自身にも言い聞かせるように一点を見つめ、力強く語った。