「宮崎キャンプ60年記念ジャイアンツVSホークスOB戦」(10日、サンマリンスタジアム宮崎)で、松井秀喜氏(43)が背番号55のユニホームを着て「3番・中堅」でフル出場した。

 第1打席、2―2から打ち上げた飛球を、ホークスの捕手を務めた城島健司氏(41)が捕球態勢に入りながらも落球。松井氏は城島氏と握手を交わすと、次の127キロの直球をキッチリと中前へはじき返した。

 松井氏は照れ笑いで「彼(城島氏)がその場の空気を呼んで(落球を)やってくれたので感謝しています」と相手の絶妙な”アシスト”に平身低頭だった。

 ゴジラ劇場はこれだけで終わらなかった。3回一死一塁で迎えた第2打席では、山内孝徳氏の投じた88キロのスローボールを右前へ。4回一死の第3打席では4番手・加藤伸一氏の初球117キロを右方向へ。そのままスタンドに吸い込まれるかと思われたが、打球は失速し、右飛に倒れた松井氏は一塁ベースを駆け抜けた後、ヘルメットをポーンと投げ捨てる”らしくない”パフォーマンスを見せた。

「まあ、今日はお客さんを喜ばせる日だからね。普段というか現役のころは(悔しがるパフォーマンスは)しないですよ」

 終わってみれば、盟友の巨人・高橋由伸監督とともに最後までフル出場。4打数2安打1四球1三振に終わった。「キャンプで偉そうに指導してますんで(100点満点中で)30点です」と自己採点すると「イメージと実際のスイングが一致しないですね。(守備では飛球が飛んでこなくて)良かったです」と苦笑いだ。

 総監督を務めた長嶋茂雄氏(巨人終身名誉監督)は松井氏について「やっぱりいい打球ですよ」と満足げ。松井氏は「長嶋さんがそこにいるという、それだけで皆が幸せになる。懐かしかったですね。良かったです。由伸がライト、清水さんがレフトにいて、前に(二塁の)仁志さんがいて(遊撃の)元木さんがいてね…。いい光景でした」と話した。