【アリゾナ州スコッツデール6日(日本時間7日)発】日本ハムのドラフト1位・清宮幸太郎内野手(18=早実)がプロ入り初の特守を行った。しかし、約1時間行われた特守では三塁守備でエラーを連発するなど、送球までの流れはぎこちないまま。練習後「下手くそっす! でも、やるしかしょうがないっす」と自分に言い聞かせるように語るなど、苦悩をのぞかせた。

 第2クール2日目のこの日は、清宮にとって最も長い一日となった。

 右手親指の負傷のためこの日もバットを持たずにグラウンド入り。他の野手の打撃練習時間になると一人フィールドを離れ、金子誠内野守備走塁コーチ(42)による内野守備の基礎講座が始まった。テークバックを小さくしたスローイング矯正と、捕球時の腰高を改善させるための基本姿勢の徹底が繰り返された。

 アリゾナの炎天下、ランチまでの1時間20分を「金子塾」に費やした清宮は、20分ほどで昼食を済ませると再びグラウンドへ。石井一成(23)、太田賢吾(21)、平沼翔太(20)の3内野手とプロ初の特守が始まった。

 外野で4選手が一直線に並び連続して行うカット、中継プレーの送球練習を約10分間。時折、金子コーチから「足を止めるなよ!」「(ボールの)もらい方が悪い!」「(プレーは)大事に、一つずつ!」と大声で指示が飛んだ。

 続いて行われた内野ノックで清宮は三塁のポジションに入ったが、19本のうちイージーなゴロ4本をエラー。構え、捕球、送球という一連の流れを意識し過ぎるあまり、捕球時のステップが合わないなどのミスが目立った。

 その後は一塁守備にも就き、金子コーチが付きっきりで足の運びを丁寧におさらいする姿も見られたが、特守後の清宮の表情からは、連日の単調な基礎練習と、打てない苦しみから疲労の色がにじんだ。ネット裏にいた旧知の関係者に思わず「下手くそっす。でも、やるしかしょうがないっす」と弱音を吐くシーンも見られた。

 清宮は特守について「いつもだったらこういうとき打撃してるかなぁと思う。今はできないから、こうして違うところを伸ばすことができると思う。そういう意味ではすごく良かったなと思います。(トス練習など)何事も基礎が大事かなと思うのでいい練習でした」と努めて前向きに語った。

 金子コーチは「分からないんだったらやらせるしかない。守備はリズム。バッティングをし始めたら、彼も野球人としてリズムを急に取れだす可能性があるかもしれない」と辛口。

 清宮を右翼付近から見守っていた栗山監督は「本当は打てばストレス発散にもなるんだろうけど今、自分が(打つことを)我慢している姿が自分にとってどういう意味を持ってくるのか。しっかり受け止めて、やるべきことをやるしかない。その意味ではいい時間を過ごしていると思う」と語った。打ちたくても打てない清宮の苦しい“守備の日々”が、今後の確かな成長につながることを確信しているようだった。