オリ田口壮二軍監督が断言「大谷の直球はメジャーで通用する」

2018年02月07日 11時00分

ベーブ・ルース以来の本格的な二刀流挑戦に人気と期待がうなぎ上りの大谷(ロイター=USA TODAY Sports)

「時間はかかるかもしれないがメジャーでも成功する――」。元メジャーリーガーのオリックス・田口壮二軍監督(48)が、エンゼルス・大谷翔平投手(23)のメジャー二刀流挑戦についてこう断言した。大谷成功のカギはどこにあるのか。同監督のカージナルス時代の同僚で今季大谷と共闘するアルバート・プホルス内野手(38)のことを含め、すべてを語ってもらった。

 ――大谷のメジャー二刀流挑戦をどう見ている

 田口:時間はかかると思うけれど、個人的には成功すると思っている。

 ――その根拠は

 田口:エンゼルスのソーシア監督やチーム全体が大谷君の起用を前向きに考えてくれている。先発投手の編成もこれまでのメジャーの主流だった「中4日5人態勢」から「中5日~6日の6人制」で回す意向を示している。そう考えれば1年目の大谷君への負担も少ない。日本と同じような起用ができるのであれば二刀流は可能です。

 ――米国では移動のつらさもあるが

 田口:正直、移動に関してはメジャーの方が楽。すべてチャーター機なので日本の新幹線や民間機での移動とは比較にならない。ただ、気になるのはエンゼルスの本拠地が西海岸ということ。中地区だったら長距離フライトがないので、西地区、東地区チームに比べて有利だった。自分自身(中地区の)カージナルスに所属していた時、そう実感した。東海岸のフィリーズに移籍した時は、東から西の移動、西から東への移動がつらかった。(最大3時間の)時差と(約5時間の)長距離フライトの移動だけで疲れたし、体調管理も大変だった。長いシーズン、徐々にそういう小さな疲労がたまる。特に夏ごろ、長距離移動を何度も繰り返せば、確実に疲労が蓄積する。これは経験しないとわからない。

 ――投手はどのような対策をしているのか

 田口:基本的にメジャーのローテーション投手は、夏場になると登板間のブルペンセッションをやらず、ノースローで調整する方法を取る。大谷君もそういう調整をさせてくれるはず。

 ――大谷の「きれいな真っすぐ」はメジャーで通用するか

 田口:まったく問題ない。むしろ、威力のある今の直球の方が、メジャーの強打者を打ち取れる可能性は高いと思う。

 ――その理由は

 田口:僕がメジャーでプレーする少し前ぐらいからメジャーの投手は手元で動いたり沈むボールを頻繁に使うようになった。そのボールに対応するため、特に長距離打者はバットを下から出して、ボールを上げようとフライボールを打つスイングが目立ってきた。そんな打者たちが大谷君の直球と対峙するとどうなるか。確実にバットが球の下をこすり打ち損じる。打者のスイングは簡単には変えられない。動くボールに対応する打者が多い今だからこそ、大谷君の球は通用する。

 ――あえて動くボールを覚える必要はない

 田口:大谷君が今の直球で勝負していけば、メジャーの歴史を変える、いや戻すかもしれない。

 ――どういうことか

 田口:昔、剛腕と言われたライアンやクレメンスらは今の大谷君のような威力のある直球で打者を封じ込めた。それが少しずつ変化して、投手は強打者にゴロを打たせるためボールを動かし始めた。でも、大谷君が威力ある直球で押せば、相手打者は再びパワーボールに対応するため、上からボールを叩くようなスイングをするようになる。大谷君の活躍次第で、メジャーは昔の力と力の戦いに戻るかもしれない。歴史って繰り返すでしょ。今のメジャーはその分岐点に来ていると思う。大谷君にはメジャーの歴史を動かす、そういう存在になってもらいたい。

 ――逆に「打者・大谷」は動くボールに対応できるか

 田口:これはもう、慣れるしかない。僕はボールが変化する直前のところにバットを強く最短で持っていくイメージで打っていた。対応できたのは1年目の7月ごろかな。慣れるまでにはそれぐらい時間がかかる。

 ――カージナルス時代、田口監督とプホルスは同僚。大谷と同僚になるプホルスの打撃は、参考になるか

 田口:アルバート(プホルス)は長距離打者。大谷君とはタイプが違う。でも学ぶべきところはある。僕が一番驚いたのは彼の研究熱心なところ。試合が終わり、何か納得がいかない点があると、必ずビデオ室にこもって研究し、問題点は当日中に解消してから帰宅していた。絶対に次の日まで課題点を残さない。あの姿勢は見習うべき。

 ――最後に大谷へアドバイスを送るとしたら

 田口:彼の能力は高い。とにかく、自分を信じて頑張ってほしい。

★目標はウエスタン・リーグ制覇=指導者として3年目を迎える田口二軍監督は、今季の目標に「ウエスタン・リーグ制覇」を掲げた。「この2年間で選手のゲームに勝つためのメンタルはできた。勝つための執念みたいなものも感じられる。あとは勝ちグセをつけ、選手たちが優勝の味を知ることが大事。『ただ頑張る』のではなく、実際に優勝の体験をしないと野球へのモチベーションは上がっていかないから」。メジャーで2度世界一を経験し、勝利の美酒の重要性を理解しているだけに、若手主体のチームに奮起を促している。