【アリゾナ州スコッツデール4日(日本時間5日)発】日本ハムは今キャンプ初の休日だった。1クールを終えた時点でドラフト1位・清宮幸太郎内野手(18=早実)の人たらしぶりがナイン、関係者の中で話題だ。今キャンプでは新人として唯一の一軍帯同ながら高校生離れした堂々たる風格と持ち前の愛嬌でチームに溶け込んでいる。一方では気心を許した先輩選手に対し「タメ口を利く」という驚きの行動も。「礼儀正しい好青年」というイメージを裏切る“別の顔”も見せ始めているという怪物ルーキー。果たしてその真相とは…。

 1月28日の一軍合流から8日目を迎えた清宮。新人とは思えない存在感を発揮しているが、渡米直後の自主トレ期間中からキャンプインにかけてはなかなか一軍の雰囲気に溶け込めず苦労する様子も見られていた。

 そんな悩める大物新人に救いの手を差し伸べたのが「おにぎり君」こと3年目の横尾俊建内野手(24)だ。清宮にとっては早実時代からのジム仲間ということもあり、旧知の仲の2人。木製バットを持っていなかった清宮に横尾が自身のバットを貸すなど、関係を築いていた。

 その兄貴分に対し清宮が耳を疑う行動を取ったのは、キャンプ2日目のシートノック中だった。まだ勝手の分からない清宮は受けたボールの返球先が分からず、横で共にノックを受けていた横尾に「これどうやってやるの?」とタメ口で質問をしたものだから周囲はビックリ仰天。しかし、横尾もこれに怒ることなく「それでいいよ」と返答。さらに清宮のことを「幸太郎くん」と呼ぶなど、まるで兄弟のような関係性を見せ周囲をほんわかさせていた。

 18歳スラッガーが予想を裏切るフランクな対応を見せたのは横尾だけではない。2年目の森山恵佑外野手(23=身長188センチ)に対しても練習の合間に「あれ、こんなに背が高かったっけ?」とひと言。言われた森山は「(清宮は)普通にかわいいっすよ。飯のときとかもよくしゃべりますし」と嫌悪感はゼロ。清宮の人たらしぶりにすっかり心を許しているのだ。

 1年目から臆せず先輩にタメ口で話すといえば西武・森友哉捕手(22)がその代表格。「理不尽な上下関係をつくらない」という大阪桐蔭の方針もありバッテリーを組んでいた阪神・藤浪晋太郎投手(23)とは高校時代からタメ口でやりとりをするのが日常だったという。西武入団後もその基本スタンスは変わらず、時にフランク過ぎるラフなトークが先輩投手らの神経を逆なでし「社会人としておかしいやろ?」と説教を食らうこともある。

 清宮も「タメ口」の使いどころを一歩間違えれば、あらぬ誤解を受けそうだが、森と違うのは使う場所と相手を自然と見極められていることだ。球団関係者は「彼のすごいところは、タメ口で話しても相手の選手を悪い気持ちにさせないこと。キャラクターですよね」と絶賛。栗山監督も「幸太郎が持ってるホワンとした大きさ。人に何か言ってもらえる、助けてあげようとか、こいつのために何とかやってあげようという空気は、実は人間が成長していく上ですごく大事な要素。そういったものを持っている選手であるのは間違いない」と人徳を称賛する。

 過去の例では大物新人はナインからお客さん扱いされたり、距離を置かれることも少なくないが、清宮はすでにポジションを確立しつつある。本当に規格外だ。