巨人 節目の宮崎キャンプ60周年「伝統行事」改革断行

2018年02月01日 16時30分

囲み会見を行った由伸監督

 巨人の“改革”は復活に通ずるか――。先に宮崎入りしていた高橋由伸監督(42)と一軍メンバーを除く首脳陣、二軍メンバーらが31日、キャンプ開幕を翌日に控えて現地に合流。屈辱のBクラスからの巻き返しへ、指揮官は「奮い立て!」と全軍へ大号令を発した。一方で宮崎キャンプ60年の節目を迎える球団も、半世紀以上前から続く伝統行事の取りやめを決断するなど、覚悟を固めて勝負の年に臨む。

 復権を目指した戦いが幕を開ける。コーチ陣、二軍ナインをキャンプ地に迎え入れた由伸監督はやや高揚した表情で「宮崎に来るといよいよ始まるな、という気持ちになる」と口を開くと「チームの指針として“奮輝”というスローガンを掲げたが、チーム全体が奮い立つというか、昨年の成績からなんとかみんなで立ち上がろうという思いがある」と、指揮官としてメッセージを発した。

 昨季は屈辱の6年ぶりBクラスに沈んだ巨人。球団はオフに村田を自由契約とするなど、大胆な若返り策を断行した一方、目立つ補強はFAの野上、ゲレーロ、ヤングマンの獲得にとどめた。新たな力の台頭なくして、チームの浮上はない。由伸監督も今キャンプのテーマを問われると「若い選手の底上げだと思います」と即答した。

 一軍メンバーは若手が主体。指揮官は「(坂本勇が守る)ショート以外は大いにチャンスがある」と競争をあおる。若い野手には秋季キャンプ同様の地獄練習を課すという。2年ぶりに宮崎を訪れる松井秀喜臨時コーチの指導で、ひと皮むける選手が現れるかにも注目だ。一方で球団は節目のキャンプを盛り上げようと躍起だ。初日の1日には宮崎キャンプ60年記念セレモニーを予定しているほか、10日の休養日には「ジャイアンツ対ホークスOB戦」が行われる。巨人からはONに加え、松井氏や由伸監督ら豪華OB陣が勢揃いする。

 ただ新たな取り組みの陰で、キャンプ地に衝撃が走る決断も下した。全選手と関係者が宮崎入りしたこの日、キャンプ開幕前日の恒例行事だった宮崎市内の宮崎神宮へのチーム参拝を取りやめた。球団は「スケジュールの都合」としたが、同神宮によれば、巨人とは1959年までさかのぼる長い縁だ。

 神宮関係者は「こちらとしては、何とか来ていただけないかとお話ししたのですが、どうしてもと…。(主祭神である)神武天皇の東征のスタートの地として、巨人の戦いもここからスタートするという意味も込め、長嶋監督ら歴代監督にも来ていただいていたのですが残念です」と落胆を隠せなかった。

 球団内では「初日に(キャンプ地近くの)青島神社には行くんだし、ゆっくり備えられていい」という若手選手の声も上がっていたが、ベテランスタッフは「神様へのあいさつをやめていいんだろうかという思いはあるけれどね…。毎年あの参道を歩くと『さあ、始まるぞ』という気持ちになっただけに残念だね」と少々寂しそうだった。

 勝負事に関わる組織として、必勝祈願を取りやめることはフロントとしても相当の覚悟が要っただろう。ただ宮崎神宮には、この日も多くのファンが巨人の到着を待っていた。神宮関係者は「私どもといたしましては、来年ぜひまた巨人軍に来ていただけたらと思っております」と願う。

 巨人が21度目の日本一に輝いた翌年の2010年のキャンプ開幕前日には、宮崎市内中心部で優勝パレードが催された。その際、当時の原監督らVナインが乗り込んだのが、宮崎神宮に伝わる神武東征ゆかりの古代船「おきよ丸」を模した船型の乗り物だった。由伸巨人が目指すのも、日本一の栄誉を手にしての凱旋。来春は宮崎のファンに船上から手を振るナインの雄姿を見せられるか。